研究課題
[I] Linc RNAの構造の研究: (1) FliとRli linc RNAの長さは約 500 ヌクレオチドであり、位置は ETT の翻訳開始点から約 2.5 kb 上流であることが確認された。また、PCR法により、二本鎖 RNAが存在していることが明確になった。(2) Linc RNAsの転写の仕組みは、まだ不明な点が多い。 (3) Fli Rli と相同な配列の検索:シロイヌナズナゲノム上には存在していないことがわかった。[II] ETT 遺伝子発現と葉の形態形成におけるLinc RNAの役割の研究:(1) Linc RNAsのETT発現への影響: FliとRliに対応するゲノムDNAへのT-DNA挿入変異体を分離した。その結果、1つの変異体では Rli の量が減少した。葉の発生に異常が見られ、ETT 発現に対する正の因子である可能性が示唆された。(2) Linc RNAsの葉形成に対する役割:上記変異体の表現型を詳細に検討した。その結果、幼若葉的葉形成と栄養成長期の葉形成が長く続くことがわかった。[III] Linc RNAとタンパク質複合体の構造の研究:Linc RNAが存在する可能性がある核内顆粒(AS2 body:AS2 タンパク質を含む顆粒)の細胞周期依存性を調べた。その結果、細胞周期の M 期に蓄積し、それぞれがM期中期以降に倍化し、倍化したそれぞれが娘細胞に分配された。このように、正確に同じ数の AS2 body が分配されることから、何らかの分配の維持機構(non-stochastic distribution)が存在すると期待される。
2: おおむね順調に進展している
[I] Linc RNAの構造の研究:(1) Linc RNA の構造決定: linc RNA の完全長の配列を、5' と 3' RACE 法により決定し位置をマップする計画だったが、達成されなかった。また、Fliと Rli が二本鎖 RNAとして存在するかどうかを調べる計画であり、後半は PCR法により、二本鎖 RNAが存在していることが明確になった。(2) Linc RNAsの転写の仕組みの研究:これは達成されなかった。(3) Fli Rli と相同な配列の検索:シロイヌナズナゲノム上には存在していないことがわかった。[II] ETT 遺伝子発現と葉の形態形成におけるLinc RNAの役割の研究:(1) Linc RNAsのETT発現への影響: FliとRliに対応するゲノムDNAへのT-DNA挿入変異体を分離した。その結果、1つの変異体では Rli の量が減少していた。葉の発生に異常が見られ、ETT 発現に対する正の因子である可能性が示唆された。(2) Linc RNAsの葉形成に対する役割:上記変異体や過剰発現体の表現型を検討した。その結果、幼若葉的葉形成と栄養成長期の葉形成が長く続くことがわかった。[III] Linc RNAとタンパク質複合体の構造の研究:Linc RNAが、AS2タンパク質からなる核内顆粒(AS2 body)中に存在するかどうかを解析する計画は達成されなかった。しかし、AS2 body形成の細胞周期依存性を調べることができた。その結果、細胞周期の M 期に蓄積し、中期に倍化し、それぞれが正確に娘細胞に分配された。これは分配が non-stochastic distribution であることを示す。このように計画のほぼ60%は達成されたと考えている。
[I] Linc RNAとタンパク質複合体の構造の研究:H26 に達成できなかった、Fli とRli RNAの末端配列を決める。また、このRNAがAS2 bodyに含まれるかどうかを、バクテリオファージのMS2タンパク質が結合する RNA 配列を利用して検討する計画である。これらの研究は、我々と新規の分担者である東大の渡辺教授のグループとの共同研究ですすめる予定である。また、同定された顆粒を構成しているタンパク質の組成を解析する。我々は昨年度、Rli RNA量が減少する変異体を分離したので、この変異体におけるAS2 bodyの量やここで同定されると期待される核内顆粒の形態を観察する。[II] ETT 遺伝子発現と葉の形態形成におけるLinc RNAの役割の研究:これまでに、Linc RNA合成が見られなくなった変異体を分離し、その表現型を調べた。その結果、幼若葉的葉形成と栄養成長期の葉形成の時間が長く続くことがわかった。つまり、生殖成長への転換が遅れている可能性が示された。そこで、葉の形態異常を詳細に調べるだけでなく、それがETT遺伝子の転写レベルと相関があるかどうかを検討する。また、ETTの発現に影響を与える変異体を我々は多数分離しているので、これらと Linc RNAの変異体との多重変異体を分離し、葉の表裏の形態を解析する。[II] Linc RNAのETTジーン・ボディーのメチル化に対する役割の研究:AS1-AS2 複合体は、ETTジーン・ボディーのメチル化に対する正の因子である。しかし、このメチル化にどのような因子が関わっているかは不明である。Linc RNA がコードされている DNA 領域にAS1-AS2 は結合する。そこで、変異体におけるETTジーン・ボディーのメチル化のレベルを解析し、Linc RNA とこの領域のDNAメチル化との関係を解析する。
①経費を別予算に振りかえたため。②分担者配分金を次年度に繰り越ししたため。
消耗品の購入等。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (25件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (4件)
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