研究課題
根においては、頂端側から基部側にかけてオーキシンシグナルの勾配が存在する。これまでの研究から、このオーキシンシグナルの勾配と、transition zone (TZ)で活性化されるサイトカイニンシグナルにより、細胞分裂から分化への転換が行われることが示唆されている。一方で、シロイヌナズナの根におけるDNA倍加を伴う分化転換に際してはクロマチン構造の変化が重要であること、またオーキシンシグナルがクロマチン構造を制御する要因となっていることを見出している。以上のことから、オーキシンシグナルの低下がクロマチン構造制御を介して分化転換を促していると考え、オーキシンによるクロマチン構造の制御機構に焦点をあてて研究を行った。まず、DAPI染色によりクロモセンターを、また180 bpプローブに用いたFISHによりセントロメア領域を検出し、それぞれのシグナルの重なり具合をもとに染色体の凝縮度を解析した。その結果、オーキシンの変異体では染色体構造が変化していることが示唆された。次に、オーキシンに応答するヒストン修飾酵素遺伝子を探索したところ、ある種の遺伝子が野生型植物のオーキシン処理、あるいはオーキシン関連遺伝子の変異体において発現量が変化していることを見出した。そこで、それらのGUSまたはGFPレポーター系統を作出し、根端において発現する遺伝子を絞り込んだ。現在、これらの遺伝子の多重変異体を作成中であり、この変異体を用いてクロマチン構造や細胞分裂から分化への転換について解析する予定である。一方で、分化転換直前で量的に変化するヒストン修飾も見出している。現在、そのヒストン修飾を担う酵素遺伝子についても解析を進めており、発現様式、変異体の表現型、異所的発現の効果等を調べることにより、細胞分裂から分化への転換に関わるエピジェネティックな要因であるかどうか検討している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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