研究課題/領域番号 |
26291064
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
杉本 慶子 独立行政法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (30455349)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 植物ホルモン・成長生理・全能性 / 細胞分化 / 細胞周期 / 遺伝子発現調節 / 発生遺伝 |
研究実績の概要 |
多細胞生物の器官が継続的に成長し、形態形成を進めるためには、細胞の増殖と分化、成熟のバランスが協調的に制御される必要がある。植物のメリステムでは細胞が増殖期を経て分化を開始し、やがて成熟するが、この過程を制御する分子機構には未解明の点が多い。細胞増殖期から分化、成熟期への移行には転写制御因子による大規模な遺伝子発現変動が関与する可能性が示唆されているが、その制御機構の解明は遅れている。我々は最近シロイヌナズナの新規変異体スクリーニングから、これらの移行過程を制御する転写因子候補を多数同定した。本研究ではこれらの転写因子の下流標的遺伝子を網羅的に決定し、機能解析を進めることによって、植物の細胞増殖と分化、成熟のバランスを調節する新規転写制御ネットワークを解明することを目的としている。今年度は、GRTF転写因子群のプロモーターを用いて発現誘導するキメラリプレッサー系統の作成を進めた。また同時にそれぞれのGRTFのノックアウト変異体の整備を進めた。さらにそれぞれのGRTFを35Sプロモーターや発現誘導プロモーターに連結するコンストラクト(35S:GRTF、pER8:GRTF等)を作成し、安定型もしくは誘導型のGRTF過剰発現体を整備した。このなかから、誘導型の過剰発現体で既に細胞増殖、成長に異常のみられるGRTFについては、その下流標的遺伝子群を網羅的に同定するため、RNAseqによる全ゲノム発現解析の準備を進めた。またGRTFの植物体内での発現場所を特定するために、GRTF遺伝子をGFPに結合して発現するpGRTF:GRTF-GFP植物体の作成を進めた
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度以降に進めるGRTFの機能解析に必要な形質転換体の整備が順調に進んでいるため。また解析を始めたGRTFについては既に細胞増殖、成長に異常がみられており、予定より早くRNAseqに準備にも取りかかっているため。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度作成したGRTF欠損変異体と過剰発現体の表現型解析を進める。葉や根の矮小化、形態異常が見られる系統についてはフローサイトメトリー解析を行い、細胞分裂周期や核内倍加周期の進行に異常があるかどうかを検討する。また葉や根の細胞の顕微鏡観察を行い、細胞の数や形、大きさに異常が見られるかどうかを調べる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平行して進める予定であったChIP解析用の形質転換体作出及びChIPの条件検討に予想以上に時間がかかり全ゲノム解析用のサンプル調整が間に合わなかったため、物品費を繰り越すことになった。またこのため海外出張(旅費)、論文投稿(その他)を次年度に延期した。
|
次年度使用額の使用計画 |
繰り越した物品費、旅費、その他費用は、それぞれ今年度予定した通り、ChIPseq解析消耗品、海外出張、論文投稿費として使用する。
|