研究課題
多細胞生物の器官が継続的に成長し、形態形成を進めるためには、細胞の増殖と分化、成熟のバランスが協調的に制御される必要がある。植物のメリステムでは細胞が増殖期を経て分化を開始し、やがて成熟するが、この過程を制御する分子機構には未解明の点が多い。細胞増殖期から分化、成熟期への移行には転写制御因子による大規模な遺伝子発現変動が関与する可能性が示唆されているが、その制御機構の解明は遅れている。我々は最近シロイヌナズナの新規変異体スクリーニングからこれらの移行過程を制御する転写因子を多数同定しており、本研究ではこれらの転写因子の下流標的遺伝子を網羅的に決定し、機能解析を進めることによって、植物の細胞増殖と分化、成熟のバランスを調節する新規転写制御ネットワークの解明を目指す。今年度は植物に特有なDOF型転写因子をコードするOBP4に関する研究を進め、OBP4の発現がストレスホルモンのひとつであるABAによって誘導されること、またOBP4が細胞伸長を負に制御することを発見した (Plant Physiol, 2017)。また誘導型のOBP4過剰発現体を用いたRNAseq解析を行い、OBP4に依存して発現量が変化する遺伝子をゲノムワイドに同定した。特に根毛細胞に注目した解析を進め、OBP4が根毛成長の鍵制御因子であるRSL2遺伝子の発現を抑制することによって根毛の細胞成長を停止させることを見いだした(Plant Physiol, 2017)。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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