研究課題
「V2受容体の起源と進化」に関しては、トラザメ受容体のゲノム上の位置を同定し、シンテニーおよび分子系統解析によって、最終的なサブタイプの判別を完成させた。同様に、ヌタウナギについてのゲノムアセンブリを整え、受容体のレパートリを確認した。このことにより、脊椎動物におけるV2受容体進化の全容をとらえることができた。「V2受容体の機能と進化」の研究においては、トラザメとメダカで進捗があった。トラザメには祖先型のV2b受容体のみが存在し、その強い発現は輸卵管後部のみにみられた。輸卵管後部を取り出しバソトシンによる収縮作用を調べたところ、容量依存的な収縮が検出され、オキシトシン属ペプチドでは100倍濃度でも弱い反応が見られただけであった。また、受容体の発現が検出されない輸卵管前部ではバソトシンによる収縮効果が見られなかった。以上のことから、V2受容体の元々の機能は輸卵管収縮による産卵制御であったと考えられ、無脊椎動物でも神経葉ホルモンホモログが産卵などの生殖活動に関係することを考えると、進化的に興味深い。一方で、V2a受容体についてはノックアウトメダカ(V2aR-KO)を作出することに成功した。高張飼育水(600 mOsm)に移行させたときに、筋肉水分率と血漿Na+濃度にはWTとV2aR-KOの間に有意な差は見られなかった。淡水飼育個体では、V2aR-KOの鰓におけるAQP3の発現が有意に低かった。また、鰓のNaK-a、NaK-b、AE1、腎臓のNKCC2の発現は有意に高かった。V2aRはメダカ脳でも高発現していたため、中枢での機能も調べた。その結果、不安状態を示す下層選好性や遊泳量に有意な差はみられなかったが、摂食行動の低下と成長の遅延が表現型として観察された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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