研究課題
器官や組織を生きたまま染色体特異的領域のDNAを可視化するために、lacO/LacI配列をシロイヌナズナに形質転換した。挿入部位をPCRで同定して各染色体の短腕、長腕部位に挿入されたラインを確立した。細胞核内に相同染色体由来の二つのシグナルが検出され、植物個体の生育も変化なく、lacO/LacI挿入による人為的影響はなかった。ヘテロクロマチン領域への挿入や染色体位置効果によるサイレンシングを回避したラインを確立した。安定的に蛍光イメージングできるラインを選抜した。また、ライブセルイメージングは、申請者が保有する高精細4Dライブイメージング顕微システムを活用し、データを取得した。構築した染色体領域特異的可視化ラインを使用して、シロイヌナズナの根の発生・分化段階ごとに、lacシグナルの動態を高精細4Dライブイメージングシステムにより解析した。根の分裂領域と伸長領域でLacIシグナル間の距離が異なり、その距離が一定に保たれていることが示された。このようなライブセルイメージング解析を孔辺細胞を用いても実施し、染色体相互作用の時空間特異的な動態情報を取得した。コンデンシンIIサブユニットであるCAP-G2およびH2を含んだタンパク質複合体を単離核から免疫沈降により同定を計画していたが、コンデンシンII複合体が不安定化してうまく単離できなかった。そこで、酵母を用いたDual Hunterシステムにより、相互作用因子の単離を試み、複数の相互作用因子の同定に成功した。この相互作用因子の機能解析を開始している。
1: 当初の計画以上に進展している
すでに申請書の初年度の計画は終了し、2年目の計画を推進している。また、論文原稿を作成し投稿し、現在、審査員の要求に対してリバイス中である。
染色体特異的領域可視化ラインと交雑して、染色体相互作用の動態周期、速度、局在性など、各パラメーターを制御している因子を同定する。2重、3重変異体も作成して分子遺伝学的な階層性も明らかにする。各器官特異的に染色体相互作用を制御している因子の同定も進め、その変異体の表現型から、発生・分化における染色体相互作用の重要性を明らかにする。特に変異体の発生異常、形態形成の遅延や矮小化などの表現型データは、シミュレーションモデルと遺伝子発現情報の相関解析を実施する。
当初よりも実験計画が順調に進み、早い段階で論文原稿作成に入った。このため、論文原稿作成期間中の実験消耗品使用量が減ったため、その分を次年度に繰り越すことにした。
繰り越した実験消耗品費を、次年度に有効に活用して、研究を推進する。特に、次年度は染色体特異的領域可視化ラインと交雑してイメージング解析を実施することから、この交雑実験やイメージング実験に使用する予定である。
すべて 2015 2014
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PLANT AND CELL PHYSIOLOGY
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