研究課題
生物に放射線が照射されるとDNAに傷が生じますが、生命維持のために、その傷は速やかに修復されます。動物と比べて植物は動くことができません。そのため、植物は放射線に対して迅速に応答し、DNAに生じた傷を修復することが考えられていますが、そのメカニズムについては多くの不明な点が残されています。そこで、シロイヌナズナにlacO/LacI配列を導入して構築したクロマチン可視化ラインを用いて、生きている植物細胞における染色体の動きを、蛍光タンパク質を用いて詳細に解析しました。その結果、普通の状態では相同染色体は細胞核内において一定の長さを保って離れていました。しかし、放射線を照射したところ、相同染色体が接近しました。さらに、RAD54というクロマチンリモデリング因子がなくなった変異体では、放射線を照射しても相同染色体の接近はみられませんでした。クロマチンリモデリング因子は、クロマチンからヒストンタンパク質の除去やヒストン修飾の変化を介して、クロマチン動態をダイナミックに変化させます。そこで、RAD54 を緑色蛍光タンパク質EYFP で標識したシロイヌナズナ形質転換株を作製し、細胞内局在を観察しました。その結果、RAD54 は細胞核に局在しており、DNA 二本鎖切断を誘導する放射線を照射したところ、細胞核内でドット状の構造体を形成しました。この構造体を「RAD54 フォーサイ」と名付け、解析を進めました。RAD54 フォーサイは、DNA 損傷が生じた部位に特異的に形成されることや、DNA 損傷のマーカー因子であるγH2AX と共局在したことから、DNA 修復の場であることが示されました。また、RAD54 を欠損した株はDNA 損傷に対して野生株よりも弱い耐性を示したことから、RAD54 フォーサイはストレス存在下の生育において機能していることがわかりました。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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