研究実績の概要 |
我々はミドリゾウリムシと共生クロレラを使い、細胞内共生(二次共生)の成立に必須の4種のチェックポイントの存在を発見した (Kodama, Fujishima. Int Rev Cell Moll Biol, 279, 33-77, 2009)。本申請研究ではチェックポイント1~3の性質について調べた。 (1) チェックポイント1(同一食胞内の一部のクロレラが宿主リソソーム酵素耐性を獲得):宿主から単離した共生クロレラがチェックポイント1で宿主リソソーム酵素耐性を獲得するには宿主と混合前に24時間以内の恒明条件が必須であることが分かった。光合成阻害剤存在下でも同じ結果になることから、光合成ではなく光を必要として誘導される現象であることが分かった(Kodama, Fujishima.FEMS Micro Biol Ecol, 90, 942-955, 2014)。 (2) チェックポイント2 (食胞膜の出芽によるクロレラの脱出):食胞膜の出芽に関与するダイナミンの種類を特定するため、紅藻シゾンのダイナミンと複数の市販の抗体を使用して交叉反応性をテストしたがまだ出芽根を標識する抗体は見つかっていない。 (3)チェックポイント3(食胞膜からPerialgal Vacuole膜への分化): 筆者等が作成したPV膜特異的モノクローナル抗体を用いた間接蛍光抗体法で感染初期過程を観察すると、この抗体の抗原は、リソソーム融合阻止能力の出現時期よりも後で出現し、PV膜特異的抗原は複数存在することが分かった。
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