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2016 年度 実績報告書

二次共生の成立機構の解明と人為的誘導

研究課題

研究課題/領域番号 26291073
研究機関山口大学

研究代表者

藤島 政博  山口大学, 創成科学研究科, 教授(特命) (40127783)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード細胞内共生 / 二次共生 / ミドリゾウリムシ / 共生クロレラ / 細胞進化 / モノクローナル抗体 / 感染
研究実績の概要

ミドリゾウリムシの共生クロレラを包んでいる宿主食砲膜由来の単位膜のPerialgal vacuole membrane (PV膜)に対するモノクローナル抗体を作成できたので、その抗体を使用して再共生過程での抗原の出現時期について調べ直した。予め共生クロレラを除去した白色のミドリゾウリムシ(Yad1w株)に、クロレラ (Chlorella variabilis, 1N株)を共生させた緑色の宿主(Yad1g1N株)から単離したクロレラ1N株を90秒混合し、混合液を15μm穴のナイロンメッシュでろ過して外液のクロレラを除去し、継時的にミドリゾウリムシを固定して、間接蛍光抗体法で抗原がPV膜に出現するタイミングを調べた。抗原は、混合後12時間以上経過してPV膜に出現した。このことは、チェックポイント4以降にこの抗体の抗原が出現することを示している。宿主の株特異性を間接蛍光抗体法で調べたところ、PV膜がこのモノクローナル抗体で標識される株と標識されない株があることが分かった。さらに、この抗体ではPV膜が標識されないミドリゾウリムシの白色株を作成して、それに1N株を共生させても抗体の交差反応性が見られなかったことから、この抗原は宿主由来で、抗原決定基には宿主株特異性があることが示唆された。抗原はイムノブロットでは検出できず、精製はまだ成功していない。

ゲノム解読済みの共生クロレラ (C. variabilis, NC64A株)が宿主細胞質内に共生しているときと、宿主外培養している時の遺伝子発現の変化を比較するために、トランスクリプトーム解析を実施中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

再共生に必要な4つのチェックポイントの調節機構のうち、2つ目(食砲膜の出芽)に関与すると予測されたダイナミンの検出が市販の抗体ではできていない。3つ目(PV膜の分化)に関与するPV膜特異的モノクローナル抗体が1種しかできていない。4つ目(PV膜とミトコンドリア外膜との接着)を調節する接着物質の抗体が作成できていない。

今後の研究の推進方策

1.市販のダイナミン抗体をもっと購入して、食胞膜が出芽する際にリング状に膜を標識する抗体を探す。
2.PV膜を弱く染めるモノクローナル抗体が複数取れているので、その特異性を確認し、使用できる抗体を検出し、抗原を精製する。
3.ミトコンドリア膜特異的モノクローナル抗体も複数取れたので、PV膜との接着に関与する抗原を標識する抗体を探す。
4.実験計画に沿って、人為的二次共生の誘導を実施する。
5.共生クロレラのRNAseqのデーターをまとめる。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた主な要因は、平成28年度に実施予定の学会発表等の出張の一部を取りやめたことによる。予定の実験計画の遂行のために、出張を削減せざるを得なかった。

次年度使用額の使用計画

市販のダイナミン抗体の購入費用が予定より多く必要になったので、平成29年度の研究費と合わせて抗体の購入費用として使用する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] Aux-Marseille University(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      Aux-Marseille University
  • [国際共同研究] Pisa University(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      Pisa University
  • [国際共同研究] University of Innsbruck(オーストリア)

    • 国名
      オーストリア
    • 外国機関名
      University of Innsbruck
  • [雑誌論文] Genome size of the ultrasmall unicellular freshwater green alga, Medakamo hakoo 311, as determined by staining with 4′,6-diamidino-2-phenylindole after microwave oven treatments: II. Comparison with Cyanidioschyzon merolae, Saccharomyces cerevisiae (n, 2n), and Chlorella variabilis2016

    • 著者名/発表者名
      Kuroiwa T., Ohnuma M., Imoto Y., Misumi O., Nagata N., Miyakawa I., Fujishima M.,Yagisawa F., Kuroiwa H.
    • 雑誌名

      Cytologia

      巻: 81 ページ: 1-8

    • DOI

      10.1508/cytologia.81.69

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ciliate Paramecium is a natural reservoir of Legionella pneumophila2016

    • 著者名/発表者名
      Watanabe K., Nakao R., Fujishima M., Tachibana M., Shimizu T., Watarai M.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1038/srep24322

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 「ゾウリムシ」ってどんなムシ?2016

    • 著者名/発表者名
      藤島政博、児玉有紀、中村美紀、田中健也
    • 学会等名
      第87回日本動物学会沖縄大会動物学ひろば
    • 発表場所
      沖縄タイムスビル1Fエントランス(沖縄県宜野湾市)
    • 年月日
      2016-11-19 – 2016-11-19
  • [学会発表] 一次共生の成立機構解明のモデル生物としてのゾウリムシ2016

    • 著者名/発表者名
      藤島政博
    • 学会等名
      第87回日本動物学会沖縄大会シンポジウム『ナショナルバイオリソースプロジェクト「ゾウリムシ」を用いた研究例』
    • 発表場所
      オキナワコンベンションセンター(沖縄県宜野湾市)
    • 年月日
      2016-11-17 – 2016-11-17
    • 招待講演
  • [学会発表] ゾウリムシ共生細菌のゲノム情報を利用したレジオネラ属のゾウリムシ共生因子の探索2016

    • 著者名/発表者名
      三島真渚美、渡邉健太、鈴木治夫、藤島政博、清水 隆、度会雅久
    • 学会等名
      第159回日本獣医学会
    • 発表場所
      日本大学生物資源科学部(神奈川県藤沢市)
    • 年月日
      2016-09-06 – 2016-09-08
  • [学会発表] LefA 遺伝子を介したLegionella pneumophilaの原生生物共生メカニズムの解析2016

    • 著者名/発表者名
      渡邉健太、藤島政博、度会雅久
    • 学会等名
      第159回日本獣医学会
    • 発表場所
      日本大学生物資源科学部(神奈川県藤沢市)
    • 年月日
      2016-09-06 – 2016-09-08
  • [図書] Biocommunication in ciliates. Chapter 16. Paramecium as a model organism for studies on primary and secondary endosymbioses.2016

    • 著者名/発表者名
      Kodama Y., Fujishima M.
    • 総ページ数
      372 (277-304)
    • 出版者
      Springer International Publishing Switzerland
  • [備考] FUJISHIMA LAB

  • [備考] ナショナルバイオリソースプロジェクト・ゾウリムシ

    • URL

      http://nbrpcms.nig.ac.jp/paramecium/

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2024-03-04  

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