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2016 年度 実績報告書

大進化の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26291075
研究機関公益財団法人国際科学振興財団

研究代表者

岡田 典弘  公益財団法人国際科学振興財団, その他部局等, その他 (60132982)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードレトロポゾン / SINE / 転移因子 / Wint5a / 二次口蓋 / 闘魚 / 同調 / RNA-seq
研究実績の概要

この研究費では主に二つのテーマを取り扱った。一つはレトロポゾンの一種であるSINEの機能の問題である。もう一つは闘魚を用いて、戦いの分析を分子生物学的観点から遂行した。
1)AmnSINE1の座位であるAS3_9を含む領域がWint5aのエンハンサーであることは我々の研究室で兼ねてから明らかにされてきた。今回、この領域が実は三つの領域から構成されていることが明らかになった。AmnSINE1, X6b_DNA, MER117の三つである。
2)進化のプロセスを考えたところ、AmnSINE1が最もい古く哺乳動物の共通祖先で挿入され、その後単孔類の分岐後, X6b_DNAが挿入され、真獣類の祖先で最後にMER117が挿入された。二次口蓋はこの三つが揃って初めて形成される。
3)AmnSINE1が最初に挿入された時にはWint5aに関しては機能を持たないがその後の他の二つの転移因子の挿入によって初めて真獣類の共通祖先で機能を持ったということになる。このようなことなる転移因子の組み合わせが一つのエンハンサー活性を作っているというのは初めての例である。
4)闘魚を用いて、戦いを分析する系を構築した。60分の戦いの行動分析から、対戦相手同士の行動が同調するという現象が見出された。闘魚にはmouth-lockingというお互いが取っ組み合いの喧嘩をするような行動が知られていて、この頻度、長さ、分布が戦いを特徴づけていると考えられる。
5)各段階から転写産物の配列を決定し、其の転写量の相関係数を調べることで、対戦相手同士の転写産物が同調しているという現象が見出された。これは対戦相手が同じように考え、それが同じような行動に転化され、さらにそれが転写産物の同調という現象として見出されたということであろう。このような行動が同調するという現象は世界で初めての発見である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

SINEの研究、闘魚の研究とも、思わぬ新しい発見があった。SINEについてはPlosGenetに論文を発表した。闘魚研究については現在論文を完成し、これから投稿という段階である。

今後の研究の推進方策

SINE研究は東工大を定年で退職したのに伴い継続できなくなった。闘魚研究はFAISで継続中。現在論文を作成中。新しい展開としては、戦いに傍観者を混ぜた時にどのような転写の変化が起こるかということを考えていて、このような「傍観者問題」は将来の面白いテーマである。

次年度使用額が生じた理由

論文を作るのに思いの外時間がかかった。

次年度使用額の使用計画

論文投稿料

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Coordinately co-opted multiple transposable elements constitute an enhancer for wnt5a expression in the mammalian secondary palate2016

    • 著者名/発表者名
      Hidenori Nishihara, Naoki Kobayashi, Chiharu Kimura-Yoshida, Kuo Yan, Olga Grishina, Qiong Ding, Akiko Nakanishi, Takeshi Sasaki, Mika Hirakawa, Kenta Sumiyama, Yasuhide Furuta, Victor Tarabykin, Isao Matsuo, Norihiro Okada
    • 雑誌名

      PLOS Genetics

      巻: October ページ: 1-17

    • DOI

      :10.1371/journal.pgen.1006380

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Molecular developmental mechanism in polypterid fish provides insight into the origin of vertebrate lungs.2016

    • 著者名/発表者名
      Norifumi Tatsumi, Ritsuko Kobayashi, Tohru Yano, Masatsugu Noda, Koji Fujimura, Norihiro Okada & Masataka Okabe
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: July ページ: 1-10

    • DOI

      10.1038/srep30580

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [図書] 科学者の冒険2017

    • 著者名/発表者名
      岡田典弘
    • 総ページ数
      283
    • 出版者
      クバプロ

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公開日: 2018-01-16  

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