研究課題/領域番号 |
26291078
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
高橋 鉄美 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 博士研究員 (70432359)
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研究分担者 |
曽田 貞滋 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00192625)
渡邉 正勝 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (90323807)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 集団内多型 / 色彩 / 遺伝様式 / シクリッド / 国際情報交換 / タンガニイカ湖 / ザンビア |
研究実績の概要 |
本研究課題は、タンガニイカ湖シクリッドの多様性を解明するという大きな目的の一環として、Cyprichromis属魚類におけるオス色彩二型(青尾型/黄尾型)の遺伝的基盤と進化の解明を目指す。当初、C. leptosoma(レプトソマ)の色彩二型が青優性のメンデル遺伝に従うことが明らかとなっており、候補遺伝子が8つにまで絞られていた。そこで初年度は、近縁であるC. coloratus(コロラトゥス)においても色彩二型が同じ遺伝子に支配されているとの仮説を立て、その検証を行った。すると、いくつかの興味深い新事実が明らかとなった。まず、レプトソマでは色彩二型の責任遺伝子が160 kbp程度の組換えが制限された領域に存在すると考えられたが、コロラトゥスでは組換えが制限されていなかった。このことにより、レプトソマではアソシエーション・スタディによる責任遺伝子の探索に限界があったが、コロラトゥスを使うことにより詳細な探索が可能となった。またコロラトゥスでは、レプトソマ(青優性)とは逆に、黄優性のパターンが見られた。このことは、レプトソマ青尾型とコロラトゥス黄尾型が対応し、逆もまた然り、ということを示しているのかも知れない。さらに、レプトソマでは責任遺伝子座でハーディーワインベルグ平衡からの逸脱が見られなかったが、コロラトゥスではヘテロ過剰で、優性ホモが見られなかった。ヘテロに見えるものが遺伝子重複の結果である可能性もあるので、定量PCRによって検証したが、その可能性は否定された。このことから、劣性ホモ(青尾型)とヘテロ(黄尾型)のみが存在すると考えられる。このような遺伝子型の偏りは、交配の偏りなどが原因として考えられるが、それを明らかにするのは今後の課題となるだろう。また本研究で得たRAD解析に関する技術は、他の生物群にも応用された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、現地における採集と分子実験を行った。しかし、予想と異なる結果が得られたため、今後の計画をすこし修正する必要がある。これは、申請時に、結果によって柔軟に対応する旨を記していたことを反映した処置である。なお、この処置によっても目的は変わらず、そこへの道筋が少し変わるものである。
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今後の研究の推進方策 |
当初は、オス色彩二型の遺伝様式が、近縁なレプトソマとコロラトゥスで同じであると予想し、研究計画を立てていた。しかし、平成26年度の研究により、両者の遺伝様式に違いがあることが分かってきた。とくに、レプトソマではハーディーワインベルグ平衡に従うのに対し、コロラトゥスでは従わないとする結果は非常に興味深い。前者には交配の偏りがないと考えられるが、後者では交配が偏っていたり(異型交配)、優性ホモ致死があったりなど、別の機構が存在することを暗示しているとも考えられる。異型交配は多型を維持する強力な機構であり、コロラトゥスのオス色彩二型の維持機構の一つである可能性がある。近縁な二種で維持機構が異なるのであれば、その進化的な意義を検討する上で、互いを比較対象として利用できるメリットもある。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者のひとりが物品を購入した際、僅かながら端数が残った(352円)。これを本年度内に無理に使用するよりも、来年度以降購入する物品の支払いに回す方が、無駄が少ないと考えた。なお、本年度に残った額は極めて小額であり、本年度の研究計画に支障をきたすほどではなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費として、分子実験用試薬の購入費の一部に充てる。
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