研究課題
1) ミトゲノム全長配列の超並列シークエンシング技法の確立:前年にチョウザメ類で確立した手法を中・深層性魚類に適用した.中・深層性魚類96種のロングPCRを行い,その産物を Nextera XT というキットを用いて断片化,さらにインデクス配列を付加することによりライブラリを調整した.調整済みのライブラリを用いてイルミナ社 MiSeq による超並列シークエンシングを行った結果,十分な深度でほぼ全種のミトゲノム全長配列を決定することができた.2) 中・深層性魚類のメタバーコーディング法の確立:環境DNA用に開発した MiFish プライマー (Miya et al. 2015) を中・深層性魚類のネットサンプルに適用した.太平洋を北から南まで縦断する計21測点から得られたサンプルの全個体からDNAを抽出した.抽出したDNAを測点毎に混合してテンプレートとして MiFish メタバーコーディングを行ったところ,106種が計97%以上の一致率で検出された.この中から,ヒカリデメニギス属の未記載種2種が発見された.この成果については現在 PLoS ONE に投稿中.3) 上記サンプル中に含まれる優占種について,種内集団構造に関する解析を進めている.4) また,中・深層性魚類の起源に関する論文を Dr. Jan Yde Poulsen と共著で執筆中である.さらに,海洋研究開発機構と共同で進めている研究において中・深層性魚類の新属・新種と考えられる魚種をミトゲノム全長配列に基づき発見した.
2: おおむね順調に進展している
ミトゲノム全長配列の大量シークエンス法を確立し,1回の次世代シークエンサのランで96種のシークエンシングに成功した.また,魚類メタバーコーディングの手法により新種を発見し,今まで遅々として進まなかった中・深層性魚類の研究を加速させる目処が立った.
方法論的問題点はほぼすべてクリアしたので,目標として取り上げた優占種集団の種内集団構造の解明と中・深層性魚類の起源と進化について,さらに解析を進めることとしたい.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Royal Society Open Science
巻: 2 ページ: 150088
10.1098/rsos.150088
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