本研究では,スラウェシ島のメダカ科魚類を対象に,性染色体の置換が二次性徴形質の急速な進化をもたらした可能性について検証した.集団構造解析ならびに性連鎖マーカーによる性決定様式の解析の結果,マリリ湖群のメダカ種群は互いに遺伝子流動しながらも6つの集団に分化しており,性決定様式も多型的で近縁種/集団間での性染色体の置換も見られることがわかった.また,種間交配によるQTLマッピングの結果,ムナ種群のオスの二次性徴形質である鰭の赤味の原因遺伝子は常染色体上に存在することがわかったが,同じくムナ種群のオスに特有の体側の青味については,複数の遺伝子座が関与している可能性が示唆された.
|