研究課題
1)沖縄在住の健常ボランティアを対象に、本年度7月(116名)および2月(46名)にアクネ菌の代謝物であるポルフィリンの量を計測し、皮膚の油分量、水分量、色(メラニン量)などとの関連を調べた。昨年度までに収集したデータと合わせて重回帰分析をおこなった結果、額のポルフィリン強度は、額の油分量が多いほど、また皮膚色が淡いほど有意に大きくなることが示された。鼻のポルフィリン強度に関しては、皮膚色および季節(夏よりも冬で大きい)と強い関連が示された。皮膚色がポルフィリン強度(鼻)と関連するメカニズムについては、①紫外線による殺菌効果あるいは②メラニンの抗菌効果が関与していることが考えられる。今後、更なる研究により、皮膚色とポルフィリン強度およびアクネ菌増殖との因果関係を明らかにする必要がある。2)リアルタイムPCR法を用いて、皮膚細菌叢サンプルにおける細菌由来DNAの定量分析方法を確立した。細菌由来DNA量は、16SrRNA解析の細菌由来配列リード数、Propionibacteriumの割合、ポルフィリン強度と相関することを確認した。3)ABCC11およびEDARの多型と額のポルフィリン強度との関連を調べた結果、両遺伝子のアジア型変異はともに顔面の油分量を抑える働きがあること、ポルフィリン量に関して、EDARの遺伝子型は、ABCC11の遺伝子型によって逆の効果をもつことが判明した。つまり、ABCC11とEDARの多型の間には、皮膚形質において独立した効果だけでなく、共通の効果および交互作用効果が存在し、両遺伝子座でアジア型変異をもつことが有利となる可能性が示された。しかしながら、ABCC11 とEDARの多型が皮膚細菌叢の構成に与える効果については、統計的に有意な結果は得られなかった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS One
巻: 12 ページ: e0172676
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http://w3.u-ryukyu.ac.jp/anatomy1/
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