研究実績の概要 |
F1ハイブリッドライスの育種に使われる雄性不稔性細胞質の多様化とF1採種効率の良い育種母本を育成するための分子基盤を構築することを目的とした。農業生物資源ジーンバンクNIASコアコレクション世界のイネ69品種を材料とし、ハイブリッドライスを育種するための重要形質として、細胞質雄性不稔性のミトコンドリアを保有するのかの調査、および、柱頭露出性等の花器形質について調査した。 (1) 細胞質雄性不稔性: NIASコアコレクション世界のイネ(WRC)の中の31品種について、CMS原因遺伝子候補(orf352, orf113, orf307)の有無を調査したところ、3品種についてorf352を検出したが、orf113, orf307を保持する品種はなかった。17品種のWRCに「台中65号」の戻し交雑を行った後代(主にBC5F1)について、種子稔性を調査したところ、新規CMSの候補としてWRC20, WRC23, WRC27, WRC36を見出した。また、新規RFを持つ系統の候補としてWRC23, WRC41を見出した。 (2) 柱頭露出性等の花器形質:25品種のWRCについて穎花の写真を撮影し、データベースとして東北育種研究集会で発表した。柱頭露出性の高い(60%以上)品種として、WRC05, WRC45, WRC62, WRC64, WRC97を見出した。 (3) WRC05についてCSSL計41系統の柱頭露出を観察したところ、CSSL3204の柱頭露出率が高い(34%)ことがわかり、第2染色体または第3染色体に柱頭露出に関わるQTLが存在すると予測された。
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