研究課題
葉菜類では収穫後の輸送中に老化が進行し黄変してしまうことが品質管理上大きな問題になっている。本年度はイネのステイグリーン突然変異体dye1の研究を通じて葉の緑色を保つメカニズムについて解析した。dye1は収穫時も葉の緑色を保つ突然変異体である。マップベースクローニングの結果、光化学系Iのアンテナ複合体LHCIのサブユニットのひとつLhca4にアミノ酸置換を伴う変異があることが分かった。野生型ゲノムクローンの形質転換により相補実験を行ったところ、表現型が回復したため、この遺伝子の変異がステイグリーンの原因であることが証明された。dye1では老化が進行する以前からクロロフィル含量が高く、そのことがステイグリーン表現型を示す原因のひとつと考えられた。老化前の健常葉では光化学系Iのコアタンパク質量がやや増加しているほか、光化学系IIのアンテナタンパク質であるLHCIIのタンパク質量が顕著に増加していた。したがって、これらのタンパク質量が増えることがステイグリーン表現型の原因のひとつになっていると考えられたが、両遺伝子とも転写量は野生型と変わりがなかったことから、これらのタンパク質量の増加はタンパク質レベルでの制御によるものと考えられた。またdye1は光化学系I複合体の構成が大きく損なわれているにも拘らず、炭酸固定能もバイオマスも野生型と変わらなかった。したがって、dye1では光化学系Iの活性を補う何らかの機構が働いているものと推察された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Journal of Experimental Botany
巻: 5 ページ: 1027-1035
0.1093/jxb/erx468