研究課題
作物の花器官のサイズは収量に結びつく重要な要素だが、その制御機構については未解明な点が多い。花メリステム(FM)が大型化するfon1変異体、FMが小型化するlog変異体では、それぞれ花器官の【数】が増加・減少するが、【サイズ】は顕著には変わらない。こうしたことから、花器官サイズはFMのサイズとは独立の制御を受けていることが示唆される。本研究では、花器官の【数】は変化せずに【サイズ】のみが野生型の半分以下に縮小するmif変異体および、雄蕊の中でも葯が特異的に短縮するsan変異体を用い、原因遺伝子を単離し、機能を明らかにするとともに、遺伝子間相互作用を解析することによって、イネの花器官サイズ制御の分子機構を明らかにする。平成28年度は以下の研究を行った。1)+/mifのヘテロ個体とインド型イネKasalathとのF2集団を用いたマップベースクローニングを進めたが、F2ではmifの表現型が観察されず、マッピングできなかった。そこで、日本型イネ背景のmif分離集団を用いた次世代シーケンサー解析を行った結果、クロマチンリモデラー類似遺伝子中の変異が原因と推測された。さらに、CRISPR-Cas9による同候補遺伝子の破壊系統では、mifと同様に内部花器官が小型化したため、同遺伝子が原因遺伝子であると結論づけた。また、FMサイズが大型化するfon1とmifとの二重変異体では、雄蕊のサイズが小型化したままであったため、MIFによる内部花器官のサイズ制御はFMサイズ制御とは独立であると考えられた。2)san変異体の遺伝的背景がインド型に近い未知配列であったため、マップベースクローニングは難航したものの、最終的に第5染色体短腕上の機能未知遺伝子中に表現型と完全連鎖する変異を見出した。今後、CRISPR-Cas9によって同候補遺伝子の破壊系統を作出し、確認を行う。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Plant Biotechnology Journal
巻: 15 ページ: 97-106
10.1111/pbi.12594