研究課題/領域番号 |
26292011
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷口 光隆 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (40231419)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | C4植物 / エノコログサ / 葉緑体 / 凝集運動 / 環境ストレス / アブシジン酸 / 青色光 / スクリーニング |
研究実績の概要 |
エノコログサ(A10 株)の野生型種子に重イオンビームを照射して突然変異を誘発させ,圃場,温室および人工気象室で変異後代種子の多量増幅を行った。その結果,約1,000系統の変異後代種子を得ることができた。栽培条件によって得られる種子の数および品質が異なったため,翌年度の種子増幅に向けて最適栽培条件を検討した。 エノコログサの種子は休眠が深く,採種直後の種子はほぼ発芽しない。そこで,多系統の種子を取り扱う際の簡易休眠打破法を調査した。その結果,土中播種したまま4 ℃で2~3週間保存後に生育環境に移す方法が最も簡便であることが判明した。 マイクロプレート内で葉片を青色光・ABA処理し,光学顕微鏡により向軸側から葉緑体の配置を観察し,画像解析自動化マクロを用いて一度に多系統の植物を解析するスクリーニング系を確立した。現在,この系を用いて変異体ライブラリのスクリーニングを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
圃場を用いてエノコログサを栽培し多数の後代種子を採取しようとしたが,幼苗移植の時期や方法に問題があったため,当初予定していた程の後代種子を得ることができなかった。また,多検体を一度に解析できるスクリーニング系の確立に手間取ったが,再現性の高い系を確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
スクリーニングに供する変異種子ライブラリーの増幅を平成27年度も行う。スクリーニング系が確立できたので,迅速にスクリーニングを行い,凝集運動変異体の単離を目指す。また,各植物体の葉観察画像をデータベース化し,他の形質(葉細胞の形態,クランツ構造,維管束間距離,葉緑体の数や配置など)に変異があるかどうかも調べる。 C3植物で葉緑体光定位運動に関わるchup1やkacのcDNAをエノコログサより単離しており,発現抑制コンストラクトを作製し,エノコログサに導入する。遺伝子抑制株を単離し,青色光とABAに応答した葉肉葉緑体の凝集運動の程度を調べ,これらの因子が凝集運動に関与しているかを明らかにする。 以上の計画を優先して行うとともに,研究計画調書で提案した研究計画を強力に推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子組換え体の作製に手間取り,組換え体発現解析で使用する試薬の購入が滞ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度分に繰り越した予算については,遺伝子発現解析用の試薬購入に充てる予定である。
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