研究課題/領域番号 |
26292013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
白岩 立彦 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30154363)
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研究分担者 |
中崎 鉄也 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60217693)
本間 香貴 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60397560)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | イネ / 収量 / 直立穂 / 受光態勢 / 乾物生産 |
研究実績の概要 |
直立穂型の水稲品種が中国において多収品種として普及している。しかし同形質が多収をもたらしている機構は明らかになっていない。本研究は、直立穂型品種と従来型品種との交雑分離集団を用いて、直立穂形質が群落光環境および物質生産能に及ぼす影響ならびに直立穂形質と窒素施肥および地域との交互作用効果の解析から、本形質が群落生産機能に及ぼす影響を明らかにするものであり、①直立穂型品種と従来型品種交雑分離集団をもとにした研究材料の整備、②選定系統を対象にした群落機能の解析、③直立穂形質と窒素施肥・栽培地域交互作用の解析の、3つを内容について本年度は下記の研究を実施した。 ① 既に完了しているので実施していない。 ② 昨年度までに、同じ直立穂型系統においても草型形質に変異が存在し、止葉長が短いほど登熟歩合が高いことが明らかになった。そこで、直立穂型系統から止葉長の長いもの、および短いものを3系統ずつを群落栽培し、シンクおよびソース能の変異を解析した。止葉長によりシンクサイズに違いはみられないが、ソース構成要素のうち、登熟期間後半の物質生産量が止葉が短いほど大きいことがわかった。それには群落内光環境の改善による下位葉の活性維持が関わるものと推察された。これにより、直立穂稲では、止葉長が登熟期間における群落の生産機能の維持に影響を与えているものと思われた。 ③ 昨年までに、京都の栽培環境において直立穂型草型系統と従来型系統との間には明瞭な収量差が存在しないことから、同形質の効果を、異なる栽培条件、しなわち窒素施肥量0、6、20gN/㎡の3水準、および京都大学(京都市)と瀋陽農業大学(瀋陽市)の2地点の組合せの実験を実施した。あきたこまち、同品種の直立穂型準同質遺伝子系統、Liaojing 5、同品種の非直立穂型同質遺伝子系統、の4品種・系統を供試した。実験結果の解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直立穂型系統と非直立穂型系統の物質生産及び収量形質の比較を繰り返し行った結果から、直立穂形質が群落の物質生産機能に及ぼす影響の概要が明らかになった。すなわち、直立穂形質の効果は京都においては増収をもたらすほどではないこと、その効果また止葉長の違いにより左右されること、がそれぞれ明らかになった。このことを国際学会で報告した。また、当初の予定通り、直穂形質の効果が発揮される条件の解明のために、中国遼寧省と京都市との間の連絡試験を、予定通り実施した。
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今後の研究の推進方策 |
直立穂品種と非直立穂品種との間の交雑分離系統を用いて行った試験結果については、順次口頭発表を行ってきたが、今後はその内容の論文化を目指す。 直立穂形質と窒素施肥・栽培地の交互作用の解析は、2017年度に実験を再度実施する予定であり、2016年度実験と合わせたデータセットを構築し、解析を進める。それにより、直立穂形質が効果を発揮する条件を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
京都大学と瀋陽農業大学との間で実施した連絡試験から採取した土壌及び植物試料の分析が年度ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度に実施した京都大学と瀋陽農業大学との間で実施した連絡試験から採取した土壌及び植物試料の分析については、2017年度実施予定の同実験の試料と一括して分析することにする。
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