研究課題/領域番号 |
26292015
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
加藤 雅也 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10432197)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | フラボノイド / ノビレチン / カンキツ |
研究実績の概要 |
平成26年度は,ウンシュウミカン,バレンシアオレンジ,ポンカンのフラベド(果皮部分)におけるフラボノイド含量の変動およびポリメトキシフラボノイド生合成に関わる遺伝子の発現を調査した。 フラベドにおけるフラボノイドの季節変化を,6月から翌年の1月まで調査した。実験期間中,フラベドにおける総フラボノイド含量は6月が最も高く,翌年1月まで成熟に伴い急速に減少する傾向を示した。カンキツ3品種いずれも6月ではヘスペリジンが最も高く検出され,70%以上を占めた。6月のウンシュウミカンでは,ヘスペリジンに次いで,ナリルチン(6.7%),ロイフォリン(4.3%)が主なフラボノイドとして検出された。6月のバレンシアオレンジにおいては,ロイフォリン(6.3%),ポンシリン(1.8%)が検出された。ポンカンにおいてはノビレチン(7.3%),ロイフォリン(7.3%)が検出された。 ポリメトキシフラボノイド生合成に関わるCit3’OMTおよびCit8OMTのcDNAを,カンキツ3品種からRT-PCRにより増幅し,塩基配列を決定した。Cit3’OMTでは98%以上(1,133 bp),Cit8OMTでは97%以上(954 bp)の高い相同性を示した。これらの遺伝子の発現をリアルタイムPCRにより調査したところ,Cit3’OMTの遺伝子発現は,10月以降,ウンシュウミカンよりポンカンの方が高く推移した。また,Cit8OMTの遺伝子発現は,9月以降,ウンシュウミカンよりポンカンの方が高く推移した。 したがって,カンキツ3品種では,フラボノイド含量および組成において品種間差があることが明らかとなった。また,ポンカンでは,ノビレチンの組成も9月以降急速に高くなったことから,ポリメトキシフラボノイド生合成に関わるOMT遺伝子の高い発現量がノビレチンの蓄積に関わっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は,ウンシュウミカン,バレンシアオレンジ,ポンカンのフラベド(果皮部分)におけるフラボノイド含量の変動およびポリメトキシフラボノイド生合成に関わる遺伝子発現の成熟に伴う季節変化を調査し,その結果,フラボノイド含量および組成において品種間差が認められた。また,ポンカンでは,ポリメトキシフラボノイド生合成に関わるCit3’OMTおよびCit8OMT遺伝子の高い発現量がノビレチンの蓄積に関わっていることが示唆されており,本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,まだ単離していないポリメトキシフラボノイド生合成に関わるO-メチルトランスフェラーゼおよびフラボノイドヒドロキシラーゼ遺伝子の単離を行う。また、単離した遺伝子について,発現解析を行う。平成26年度に単離したO-メチルトランスフェラーゼについては,機能解析を開始するために,大腸菌を用いてリコンビナントタンパク質を作製する。
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