研究課題/領域番号 |
26292021
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
深井 誠一 香川大学, 農学部, 教授 (80228858)
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研究分担者 |
鳴海 貴子 香川大学, 農学部, 准教授 (30469829)
中山 真義 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 花き研究領域長 (40237475)
高村 武二郎 香川大学, 農学部, 教授 (40253257)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 園芸 / 花き / キク |
研究実績の概要 |
①花色の発現と温度要因:ピンク・赤系キク品種の高温下での花色変異における品種間差異に基づき,ピンクキク品種ペリカンを選定した,花蕾の発達段階別に高温暴露し,最も高温の影響の現れる発達段階を検討した結果,花弁が伸長開始から花弁が直立するまでの間が最も高温の影響を受けることが明らかとなった.また白色花キク品種について,低夜温管理において白色のクリーミーには品種間差異が見られた. ②花色素と糖の分析:高温下でのペリカン花色発現不良は,2つの主要アントシアニン量が減ることによるが原因であることが明らかとなった.またその際,花弁の糖含量には差は見られず、糖の不足が花色発現不良の原因ではないことが明らかとなった.また低温管理下での白色系品種のクリーム化については,主たる要因はフラボン・フラボノール類の蓄積であることが明らかとなった. ③フラボノイド生合成経路の主要遺伝子の単離・発現解析:ピンクキク品種ペリカンを用いて,様々な発達段階の花弁組織から全RNAを抽出し,フラボノイド生合成経路の主要遺伝子CHS, DFR, ANS等の各遺伝子を分離した. ④温度誘導型転写因子の探索:EST 情報をもとにマイクロアレイを作成し,ピンクキク品種ペリカンの花蕾の発達段階別およびと高温または涼温下での遺伝子発現の変化を網羅的に明らかにした.その結果多くのフラボノイド生合成経路に関与する遺伝子は高温下で発現が低下していた.またいくつかの転写因子も有意に変動していた. ⑤花色不良について化学的制御の検討:白色花キク品種について,低夜温管理においてフラボン・フラボノール類の蓄積抑制にプロヘキサジオンの散布が効果的であることが明らかにされた.ピンクキク品種ペリカンについて,種々の生長調節物質を検討し,ベンジルアデニンが花色発現に効果的であることが明らかにされた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績に述べた①から⑤すべての項目に付いて,ほぼ期待された成果を得ることが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
前年に明らかにした最も影響の現れる花蕾の発達段階を基礎に,主要アントシアニンの量的変化を花蕾の発達段階ごとに明らかにし,フラボノイド生合成経路の主要酵素遺伝子の発現解析結果との対比を行うことで生合成系の何処の段階が最も温度の影響が出やすいのかを明らかにする.また発現解析に基づきフラボノイド生合成経路の中で重要ポイントと考えられる酵素遺伝子ファミリーの分離同定を進める.さらに高温域でフラボノイド系二次代謝産物の生産抑制または促進に効果のある薬剤の処理法を検討するとともに関連遺伝子の発現解析をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子の分離同定の一部が翌年度へ積み残しとなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
遺伝子分離同定に係る試薬等として早期に執行される予定である.
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