研究課題
シロイヌナズナの第5染色体に座乗するRCY1とRPP8は、キュウリモザイクウイルス黄斑系統[CMV(Y)]RCY1とアブラナ科べと病菌の抵抗性を支配する対立遺伝子RPP8である。CMV(Y)抵抗性遺伝子RCY1は、CMV(Y)の外被タンパク質(CP)を認識して細胞死を伴う抵抗性反応(HR)を誘導する。RCY1を形質転換したN. benthamianaおいても、CMV(Y)接種によりHRの誘導が認められた。しかし、ウイルス粒子の形成能または安定性を低下させる1アミノ酸変異(L39P)をCPにもつCMV(Y)は認識を逃れ、HRの誘導は認められなかった。また,この残基を含むCPの31~47番目のアミノ酸残基がαへリックス構造をとり、b, e座位の残基が形成する疎水性面同士の結合がCP多量体化・粒子形成に寄与することが構造解析で示唆されていることから、このαへリックスドメインの欠失変異体と、アミノ酸挿入/欠失でαへリックスの位相をずらした変異体を作製して上述の形質転換体N. benthamianaに接種したところ、いずれもHRを誘導しなかった。このドメインを介したCP多量体化がRCY1によるCP認識に必要である可能性が明らかになった。一方、RCY1の対立遺伝子であるRPP8が認識するアブラナ科べと病菌Emco5のエフェクターについては、RXLRドメインを指標とした候補遺伝子のクローニングは終了しているが、それら遺伝子のRPP8形質転換N. benthamianaでの発現には成功しておらず、RPP8が認識するべと病菌エフェクターの同定は今後の課題である。
3: やや遅れている
平成28年1月、エフェクター機能の解析の結果、すべての候補遺伝子において機能発現が認められなかった。
すべての候補遺伝子において機能発現が認められなかったため、タグ配列と付加部位を改変したエフェクター発現ベクターを再構築し、エフェクター機能の再解析と詳細な評価を行う。
平成28年1月、エフェクター機能の解析の結果、すべての候補遺伝子において機能発現が認められなかったため。
タグ配列と付加部位を改変したエフェクター発現ベクターを再構築し、エフェクター機能の再解析と詳細な評価を実施するための、分子生物学的実験に使用する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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