研究課題
植物が病原菌を認識して生体防御機構を始動すると、活性酸素種 (ROS) の生産や細胞死を伴った激しい免疫応答が誘導される。この誘導過程には、防御応答に関与するMAPキナーゼであるSIPKが関与することが報告されてきた。しかし、ROS生産や細胞死を伴う免疫応答の誘導機構の全容は未だ明らかとなっていない。これまでに、SIPKの基質である複数のWRKY型転写因子を単離してきた。各WRKY型転写因子を単独でベンサミアナ葉に過剰発現させることによって、WRKY8はNADPHオキシダーゼであるNbRBOHBの転写活性化を伴うROS生産と細胞死を誘導すること、WRKY14はROSを生産することなく激しい細胞死を誘導することを見出した。一方でWRKY13は、ROSおよび細胞死ともに誘導しないため、ネガティブコントロールとして用いた。本研究では、WRKY8、WRKY13およびWRKY14の下流遺伝子を比較することによってデータベースを構築し、免疫応答の制御機構を明らかにすることを目的とした。本年度は、次世代シークエンサーによるRNA-seq解析を繰り返し行うことによって、これらWRKYの下流の遺伝子を網羅的に探索した。構築したデータベースを統計的に比較検討し、細胞死を誘導するWRKY8および14の下流で共通に誘導される遺伝子を絞り込んだ結果、139遺伝子が誘導され、760遺伝子が抑制されることがわかった。抑制される遺伝子には光合成に関与する遺伝子が多く含まれていた。WRKY8および14にリン酸化疑似変異を施してベンサミアナ葉に発現させた結果、カルビン回路が抑制され、葉緑体にROSバーストが誘導されることを見出した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
The Plant Cell
巻: 印刷中 ページ: 未定
org/cgi/doi/10.1105/tpc.16.00976
化学と生物
Physiological and Molecular Plant Pathology
巻: 94 ページ: 47-52
org/10.1016/j.pmpp.2016.04.001
巻: 95 ページ: 20-26
org/10.1016/j.pmpp.2016.03.004
Plant Signaling & Behavior
巻: 11 ページ: e1183085
org/10.1080/15592324.2016.1183085
http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/%7ebio4283/index.html