研究課題
I. リン酸長距離輸送に関わる水輸送体遺伝子の同定AM菌Rhizophagus clarusの水輸送体遺伝子RcAQP3の水輸送活性を酵母形質転換系により確認した。また、この遺伝子のノックダウンによりAM菌のリン酸輸送速度が低下し、植物へのリン酸供給量も低下した。これらのことは、この水輸送体が菌糸内のリン酸輸送の駆動力を伝える役割を担っていることを強く示唆する。本知見に関する論文が今年度、公表された (Kikuchi et al., 2016)。II. 共生菌から植物へのリン酸放出を担うリン酸排出輸送体の同定トランスクリプトーム解析から根内菌糸で強く発現するリン酸輸送体遺伝子として同定されたRcPHO1は、植物のリン酸排出輸送体遺伝子と相同性が高く、AM菌から植物根細胞へのリン酸移行を担うと予測された。そこで、この遺伝子を植物ウイルスベクターによりノックダウンしたところ、植物へのリン酸供給量が低下し、AM菌の形態形成や感染量にも変化が観察された。また、いもち病菌の持つPHO1相同遺伝子をノックアウトすると、培地中へのリン酸放出が止まると共に、このノックアウト株にRcPHO1を形質転換するとリン酸放出活性が復活した。これらのことは、RcPHO1がAM菌においてリン酸放出を担う輸送体遺伝子をコードしている証拠である。さらに、RcPHO1の細胞内局在性を調べるために、RcPHO1のC末端合成ペプチドに対する抗体を作製し、免疫電顕による観察やGFPタグを連結したRcPHO1をいもち病菌に形質転換したものの、細胞内での局在性は特定できなかった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)
New Phytologist
巻: 211 ページ: 1202-1208
10.1111/nph.14016
日本土壌肥料学雑誌
巻: 87 ページ: 64-69