Bacteroidales目細菌の窒素固定と水素利用の新機能の解明

2016 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26292047
• 研究機関: 国立研究開発法人理化学研究所
• 研究代表者: 大熊 盛也 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 室長 (10270597)
• 研究分担者: 野田 悟子 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (80342830)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: 共生 / 窒素固定 / 水素代謝 / ゲノム / 生態 / 進化

研究実績の概要

シロアリ腸内のセルロース分解性原生生物の細胞に共生するBacteroidales目の細菌について、昨年度までにゲノム解析をしたAzobacteroides属の細胞内共生細菌とSymbiothrix属の細胞表層共生細菌とは異なる属であるが近縁な細胞表層共生細菌であるArmantifilum属細菌について、シングルセルでゲノム解析を行った。Symbiothrix属細菌とは異なり、Armantifilum属細菌のゲノムにはセルロース分解関連酵素遺伝子は乏しかったが、Azobacteroides属のものと相同性の高い窒素固定遺伝子に加えて、金属補因子の異なる酵素をコードするもう一つの窒素固定遺伝子（anf）が見出された。腸内全体の発現遺伝子の解析から、後者のanf遺伝子が腸内で主に発現するものとの報告があり、このArmantifilum属細菌が腸内での窒素固定に主要な役割を果たしていることが確認できた。
水素代謝に関しては、ゲノム上に古細菌の水素代謝関連酵素のホモログ遺伝子を有しているが、典型的なヒドロゲナーゼ遺伝子を有していないBacteroidales目細菌として、Prevotella paludivivensとDysgonomonas hofstadiiを同定し、培養株を用いて水素代謝関連活性を測定した。両者に古細菌の酵素が関与する硫化水素生成活性も、水素生成活性も検出できなかったが、Dysgonomonas hofstadiiにおいて、ベンジルビオロゲンを電子受容体として水素吸収ヒドロゲナーゼ活性が検出された。検出できる活性は再現性が得られたが、用いた測定条件下で数分間程度で消失するというものであり、水素からの電子が細胞内で他の反応に利用されて速やかに消費されているものと考えられた。

現在までの達成度 (段落)

28年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

28年度が最終年度であるため、記入しない。

次年度使用額が生じた理由

28年度が最終年度であるため、記入しない。

次年度使用額の使用計画

28年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [国際共同研究] University of Sydney(Australia)
  • 国名: オーストラリア
  • 外国機関名: University of Sydney
  • 他の機関数: 1
• [雑誌論文] Desulfovibrio trichonymphae’, an H2-oxidizing bacterium in a tripartite symbiotic system within a protist cell in the termite gut. (2017)
  • 著者名/発表者名: Kuwahara, H., Yuki, M., Izawa, K., Ohkuma, M., Hongoh, Y
  • 雑誌名: ISME J. 巻: 11(3) ページ: 766-776
  • DOI: 10.1038/ismej.2016
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Comparison of intracellular “Ca. Endomicrobium trichonymphae” genomovars illuminates the requirement and decay of defense systems against foreign DNA (2016)
  • 著者名/発表者名: Izawa, K., H. Kuwahara, K. Kihara, M. Yuki, N. Lo, T. Ito, M. Ohkuma, Y. Hongoh
  • 雑誌名: Genome Biol. Evol. 巻: 8(10) ページ: 3099-3107
  • DOI: 10.1093/gbe/evw227
  • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Nitrogen fixation and nifH diversity in human gut microbiota (2016)
  • 著者名/発表者名: Igai, K., M. Itakura, S. Nishijima, H. Tsurumaru, W. Suda, T. Tsutaya, E. Tomitsuka, K. Tadokoro, J. Baba, S. Odani, K. Natsuhara, A. Morita, M. Yoneda, A. R. Greenhill, P. F. Horwood, J. Inoue, M. Ohkuma, Y. Hongoh, T. Yamamoto, P. M. Siba, M. Hattori, K. Minamisawa, M. Umezaki
  • 雑誌名: Sci. Rep. 巻: 6 ページ: 31942
  • DOI: 10.1038/srep31942
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Bacteroides caecicola sp. nov. and Bacteroides gallinaceum sp. nov., isolated from the caecum of an Indonesian chicken (2016)
  • 著者名/発表者名: Irisawa, T., S. Saputra, M. Kitahara, M. Sakamoto, S. Tiani, T. Yulineri, A. Dinoto, M. Ohkuma
  • 雑誌名: Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 巻: 66 ページ: 1431-1437
  • DOI: 10.1099/ijsem.0.000899
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] 難培養微生物のシングルセルゲノム解析 (2016)
  • 著者名/発表者名: 雪 真弘、大熊 盛也
  • 雑誌名: バイオサイエンスとインダストリー 巻: 74(6) ページ: 488-491
• [学会発表] シロアリ腸内原生生物細胞表面共生細菌のmicrodiversity解析にもとづく伝播様式についての考察 (2016)
  • 著者名/発表者名: 猪飼 桂、望月 悠司、雪 真弘、大熊 盛也、本郷 裕一
  • 学会等名: 日本微生物生態学会第31回大会
  • 発表場所: 横須賀文化会館（神奈川県・横須賀市）
  • 年月日: 2016-10-23 – 2016-10-25
• [学会発表] 長期に隔離された共生微生物群集では群集レベルの競争が生じるか？ (2016)
  • 著者名/発表者名: 北出 理、佐藤 渚、野田 悟子、飯田 敏也、大熊 盛也
  • 学会等名: 日本微生物生態学会第31回大会
  • 発表場所: 横須賀文化会館（神奈川県・横須賀市）
  • 年月日: 2016-10-23 – 2016-10-25
• [学会発表] バイオマスの循環を支えるシロアリの多重共生系 (2016)
  • 著者名/発表者名: 野田悟子、雪真弘、大熊盛也
  • 学会等名: 日本水環境学会シンポジウム
  • 発表場所: 秋田県立大学（秋田県・秋田市）
  • 年月日: 2016-09-14 – 2016-09-14
• [学会発表] シロアリ腸内の難培養性細菌のシングルセルゲノム解析 (2016)
  • 著者名/発表者名: 大熊盛也、雪 真弘、David Starns、桑原宏和、本郷裕一
  • 学会等名: 日本微生物資源学会第23回大会
  • 発表場所: 千葉大学（千葉県・千葉市）
  • 年月日: 2016-07-05 – 2016-07-05
• [図書] 第７章シロアリ共生微生物 共生微生物―生物と密接に関わるミクロな生命体― 大野博司（編） (2016)
  • 著者名/発表者名: 大熊盛也
  • 総ページ数: 75-84
  • 出版者: 化学同人