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2015 年度 実績報告書

EF-ハンド蛋白質ALG-2の核内および生体膜におけるカルシウム応答反応制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 26292050
研究機関名古屋大学

研究代表者

牧 正敏  名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (40183610)

研究分担者 柴田 秀樹  名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30314470)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードカルシウム結合タンパク質 / EF-ハンド / 結合モチーフ / 相互作用 / 小胞輸送 / 構造的柔軟性 / 天然変性領域 / 転写因子
研究実績の概要

我々は、5つのEF-ハンド(penta-EF-hand)をもつALG-2が二量体を形成し、相互作用因子同士を連結させるCa2+依存的アダプター機能をもつことを明らかにしてきた。本研究は、動物細胞内において核内ならびに内膜系におけるALG-2依存的カルシウム応答制御機構に焦点をあて、ALG-2と新規相互作用因子が果たす役割を分子レベルで明らかにすることを目的とした。前年度までの研究で、PLSCR3およびSec31Aに存在する2型結合配列を精査することにより新たな結合モチーフを提唱した。本年度はこのようなモチーフの条件を満たす膜貫通あるいは核内タンパク質を含む10以上のタンパク質をデータベースより抽出し、cDNA断片を緑色蛍光タンパク質(GFP)発現ベクターに挿入し、動物細胞で発現させ、ALG-2との相互作用を共免疫沈降(CoIP)およびファーウェスタン(FW)解析を行った結果、膜貫通タンパク質を含めいくつかの陽性クローンが得られたが、モチーフをもつにも関わらず有意な結合が検出されなかったものも存在した。ALG-2との結合はモチーフの存在とともに、結合モチーフが天然変性領域に存在するか否か、構造的柔軟性の高さが重要である可能性が示唆された。一方、転写因子NFAT1の制御領域にALG-2結合モチーフ様配列が存在するため、ALG-2との結合能を調べた。GFP融合NFAT1はCa2+依存的にALG-2と結合することが判明したが、2型モチーフ様配列を欠損させるとALG-2の結合能が低下するものの、依然として結合能が残存するため、複数の部位に結合、あるいは間接的に結合する可能性が示唆された。また、ALG-2の過剰発現はNFAT1応答性プロモーターの転写活性化能を減少させる傾向にあり、ALG-2結合と機能との間に相関が有るか否かが今後の検討課題である。さらにMISSL、CDIP1、TFGがALG-2と結合することを明らかにし、小胞輸送、細胞死への関与を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新規ALG-2相互作用因子探索において、結合モチーフに基づいたデータベース検索は有効であったが、結合の強弱はモチーフのみならず、周辺領域を含めた構造的柔軟性が大きく影響し、天然変性領域予測を加味することで信頼度が増すことが判明した。今後は新規相互作用蛋白質として、小胞体膜貫通蛋白質として報告されている3種類の因子と核内で作用する転写因子1種類について機能を含めて解析する方向性が定まった

今後の研究の推進方策

新規相互作用蛋白質候補であるSARAFは市販の抗体は感度が悪く、ウェスタンブロット解析や、免疫沈降、免疫染色に適用できなかった。自前で抗体を調製するため組換え体蛋白質の取得が必要であったが、発現量が極めて低く、大腸菌内で分解されやすいか、毒性があると思われたため、一部の領域を欠損させた組換え体を低温(16℃)で発現させたところ、抗原として必要量を取得することができ、業者委託により抗血清を調製した。この抗体は過剰発現させたSARAFを認識したが、内在性のSARAFを認識するかどうか、まだ確認ができていない。ウェスタンブロットによる非特異的なバンドとの区別はRNA干渉によりバンドのシグナルが減弱するかどうかを検討する必要がある。ALG-2がNFAT1と結合することが判明したが、直接的結合か間接的結合かの判定。また、他のNFAT2-4との相互作用について、検討する。さらに、転写因子はルシフェラーゼを用いたレポーターアッセイ系が確立されており、この測定法を用いることによりALG-2がNFATに結合することの生理的意義を解明することができる。

次年度使用額が生じた理由

SARAF抗血清取得のための大腸菌による組換え体発現と精製に時間を要し、抗体のアフィニティ精製までには至らなかった。ALG-2の相対的結合の強弱をより定量的に測定するシステムを樹立する必要があり、nano-luciferase融合ALG-2発現プラスミドの構築と予備解析によりその有効性が分かったが、年度内に本格的使用には至らなかった。

次年度使用額の使用計画

調製された抗血清からSARAF特異抗体を精製抗原のアフィニティ精製するために必要な固定化カラム、抗体検出試薬一式を購入する。また、nano-luciferase融合ALG-2を用いた相互作用解析に必要なルシフェラーゼ測定試薬を購入する。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Tubby-like protein superfamily member PLSCR3 functions as a negative regulator of adipogenesis in mouse 3T3-L1 preadipocytes by suppressing induction of late differentiation stage transcription factors.2015

    • 著者名/発表者名
      Inokawa A, Inuzuka T, Takahara T, Shibata H, Maki M.
    • 雑誌名

      Bioscience Reports

      巻: 36 ページ: e00287

    • DOI

      10.1042/BSR20150215

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] カルシウム結合タンパク質ALG-2による初期分泌経路調節タンパク質TFGの細胞内局在制御2016

    • 著者名/発表者名
      京卓志、桑田啓子、高原照直、牧正敏、柴田秀樹
    • 学会等名
      2016年度日本農芸化学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2016-03-27 – 2016-03-30
  • [学会発表] カルシウム結合蛋白質ALG-2と転写因子NFAT1の相互作用解析2015

    • 著者名/発表者名
      張維、鮑宣伯、高原照直、柴田秀樹、牧正敏
    • 学会等名
      BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会)
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] ALG-2相互作用タンパク質がALG-2と結合するための構造的特性の再検討2015

    • 著者名/発表者名
      小島 亨介、松尾 里奈、高橋 健、高原 照直、柴田 秀樹、牧 正敏
    • 学会等名
      BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会)
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] 小胞体ストレス誘導性アポトーシスにおけるカルシウム結合タンパク質ALG-2の役割2015

    • 著者名/発表者名
      鈴木 千尋、京 卓志、犬飼 隆太、高原 照直、牧 正敏、柴田 秀樹
    • 学会等名
      BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会)
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] MISSLはカルシウム結合タンパク質ALG-2と共同して初期小胞輸送を制御する2015

    • 著者名/発表者名
      井上 国子、新居 裕美香、高原 照直、柴田 秀樹、牧 正敏
    • 学会等名
      BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会)
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] カルシウム結合タンパク質ALG-2と小胞体―ゴルジ体間順行輸送調節タンパク質TFGの相互作用解析と局在観察2015

    • 著者名/発表者名
      京 卓志、桑田 啓子、高原 照直、牧 正敏、柴田 秀樹
    • 学会等名
      BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会)
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] ALG-2の2型結合モチーフに基づいた新規相互作用タンパク質の探索2015

    • 著者名/発表者名
      松尾 里奈、小島 亨介、張 維、高橋 健、高原 照直、柴田 秀樹、牧 正敏
    • 学会等名
      BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会)
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] Alu配列の一部がエクソン化されたタンパク質とALG-2の相互作用解析2015

    • 著者名/発表者名
      小島亨介、松尾里奈、張維、鮑宣白、高橋健、高原照直、柴田秀樹、牧正敏
    • 学会等名
      日本農芸化学会中部・関西支部合同大会
    • 発表場所
      富山県立大学(射水市)
    • 年月日
      2015-09-19 – 2015-09-20
  • [学会発表] カルシウム結合タンパク質ALG-2と相互作用するMISSLの初期小胞輸送における機能解析2015

    • 著者名/発表者名
      井上国子、新居裕美香、高原照直、柴田秀樹、牧正敏
    • 学会等名
      日本農芸化学会中部・関西支部合同大会
    • 発表場所
      富山県立大学(射水市)
    • 年月日
      2015-09-19 – 2015-09-20
  • [学会発表] カルシウム結合蛋白質ALG-2によるNFAT1の転写活性制御2015

    • 著者名/発表者名
      張維、鮑宣白、高原照直、柴田秀樹、牧正敏
    • 学会等名
      日本農芸化学会中部・関西支部合同大会
    • 発表場所
      富山県立大学(射水市)
    • 年月日
      2015-09-19 – 2015-09-20
  • [学会発表] 小胞体ストレス誘導性アポトーシスにおけるALG-2標的タンパク質の複合体形成2015

    • 著者名/発表者名
      犬飼隆太、鈴木千尋、京卓志、高原照直、牧正敏、柴田秀樹
    • 学会等名
      日本農芸化学会中部・関西支部合同大会
    • 発表場所
      富山県立大学(射水市)
    • 年月日
      2015-09-19 – 2015-09-20
  • [学会発表] シンポジウム招待講演:PEFドメインとMITドメイン ― カルパインファミリーとESCRTシステムとの接点2015

    • 著者名/発表者名
      牧正敏
    • 学会等名
      第20回病態プロテアーゼ学会
    • 発表場所
      クラウンプラザホテル名古屋
    • 年月日
      2015-08-21 – 2015-08-22
    • 招待講演
  • [学会発表] CDIP1依存性アポトーシスにおけるカルシウム結合タンパク質ALG-2の役割の検討2015

    • 著者名/発表者名
      鈴木千尋、京卓志、高原照直、牧正敏、柴田秀樹
    • 学会等名
      第67回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      東京都江戸川区タワーホール船堀
    • 年月日
      2015-06-30 – 2015-07-02
  • [学会発表] ストア作動性Ca2+流入負制御因子SARAFとカルシウム結合タンパク質ALG-2の相互作用2015

    • 著者名/発表者名
      張維、小島亨介、佐々木桂奈江、川崎真依、高原照直、柴田秀樹、牧正敏
    • 学会等名
      日本生化学会中部支部例会 2015年5月23日 信州大学
    • 発表場所
      信州大学
    • 年月日
      2015-05-23
  • [備考] 教員データベースシステム

    • URL

      http://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/view/html/100003692_ja.html

  • [備考] 分子細胞制御学研究分野ホームページ

    • URL

      http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~mcr/

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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