研究課題/領域番号 |
26292053
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
増田 誠司 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (20260614)
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研究分担者 |
井沢 真吾 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (10273517)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | mRNA輸送体 / タンパク質 |
研究実績の概要 |
遺伝子発現の制御段階として、転写や翻訳がよく知られている。これらに加え、高等真核細胞では、mRNAの核から細胞質への輸送も重要であることを発見した。mRNAの核外輸送は、mRNA輸送体によって担われている。報告者は、mRNA輸送体としてヒトTREX複合体とAREX複合体を見いだし、これらの生理機能の違いを明らかにした。また核外輸送を担うmRNA輸送受容体を用いて、動物細胞におけるタンパク質生産技術へと応用する研究を行った。 本研究は、TREX複合体とAREX複合体の2つに多様化したヒトmRNA輸送体が形成するmRNA核外輸送経路について、機能解析と構造解析とインフォマティクスを駆使して包括的に解析し、ヒトにおけるmRNA輸送経路の全貌を明らかにする。さらにアプライドmRNAバイオテクノロジーとして、mRNA核外輸送を効率化する第2世代の標的mRNA専用輸送系を創成し、革新的タンパク質生産技術として産業化へ結びつける研究を展開する。 mRNA輸送体について、これまで構造の不明であったURH49の結晶構造を解明した。またUAP56の構造と比較して両者が異なることを示した。さらに、UAP56とURH49が結合する配列についてpar-clip法を用いて解析した。現在NGSの解析が修了しその結果を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.URH49の結晶構造を明らかにした。 2.UAP56とURH49の構造は、似通っているところが多いものの、2つのドメインの連結部分の構造が異なるためにドメイン間の角度が異なっていることを見いだした。 3.UAP56とURH49の結合配列を明らかにするためにparClip法にて解析を進めNGS解析を行った。 以上の成果から、計画は順調に進んでいると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、以下に記した内容を行うことにより、真核細胞におけるmRNA輸送基盤を明らかにする。 1.UAP56とURH49によるTREX複合体ならびにAREX複合体構築基盤の解明―結晶構造の相違がどのアミノ酸変異が原因で生じたかについて詳細な変異体解析を行う。 2.UAP56とURH49が輸送するmRNAの認識機構の解明―par-Clip法により単離したUAP56とURH49の結合配列についてNGSを用いて解析したので、その結果の詳細を進めていく。具体的には、結合コンセンサス配列の同定とそれに続くミニジーンの作製ならびにその評価を行う。 3.AREX複合体のmRNA核外輸送経路の解明―AREX複合体構成因子の抗体を用いた免疫沈降やプルダウン法によってAREX複合体と相互作用するmRNA輸送受容体を同定する。 これらの解析から多様化したmRNAの輸送受容体と、TREXならびにAREX複合体によって形成されるmRNA輸送経路を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想していたよりも短期間で上記成果が得られたため、当初予定していた実験を行う必要性がなくなった。この実験に予定した費用を使用する必要がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
NGSを用いて得た結合RNA配列からコンセンサス配列を導く解析、ならびにその配列を実際の細胞を用いて証明する実験に使用する。
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