研究課題
今年度はまず,極めて強力な細胞毒性を有するマクロライド型ポリケチドであるamphidinolide Nの分子右上部位C17-C29フラグメントの合成を実施した。Sharplessの不斉ジヒドロキシル化による不斉炭素の導入,アスパラギン酸から誘導したエポキシドのジチアンアニオンによる開環,ジアステレオ選択的ケトン基の還元,ジオールの選択的メシル化とテトラヒドロフラン環の構築等により,C17-C29フラグメントの効率的合成法を確立した。また,分子下部C1-C9フラグメントの調製については,キラルなオキサゾリジオンを用いる不斉アルドール反応により2つのフラグメントの簡便合成を確立し,それらのクロスメタスシスによる連結によるC1-C9フラグメントの調製を検討している。次に,前例のない連結様式を持つグリセロ糖脂質nigricanoside Aの分子北西部位の調製を行った。前年度にエポキシアルコールフラグメントとカルボン酸フラグメントとの縮合により分子内エーテル環化前駆体を得ていたので,プロトン酸,ルイス酸,及び塩基による環化反応を試みたが,いずれの条件でも目的物を得ることはできなかった。別法としてReを用いた二重結合への環化反応も試みたが,所望の反応は進行しなかったため,Enders不斉アルキル化を鍵反応とする新ルートを検討していた。現在アルキル化前駆体の調製を行っている。また,nigricanoside Aの2つの脂肪酸鎖のより効率的な調製法を確立するために,類似構造を持つLDS1及びsacrolide Aの合成にも取り組んだ結果,不斉第2級水酸基の効率的構築による右側フラグメントの調製に成功し,別途調製した左側フラグメントとの連結を経て,両オキシリピン型天然物の全合成を達成した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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