研究課題
本年度は以下の研究成果を得た。1.アオウキクサ(レムナ:Lemna paucicostata P151株)を乾燥処理した際生成する花芽誘導天然生理活性物質LDS1の全合成を達成した。前年度、東北大グループでは 別途LDS1の合成を達成したため、ここで活用されている保護、脱保護法を参考に合成経路を見直した。合成によって得られたLDS1のMS, NMRは天然物と一致した。2. LDS1の花芽誘導活性は9,13位水酸基の立体化学に影響されないことから代謝過程で活性物質に変換されるとの想定で、合成して得られたLDS1をアオウキクサに投与し、代謝変動をLC-HRMS/MSによって追究した。アオウキクサに投与後1時間以内に還元代謝物に相当するイオンピークが増大し、その後急減した。代謝物のLC上の保持時間より、カルボニルの還元体ではなく、13または15位二重結合の何れかの還元体であると推定している。還元体の急減後に生成する代謝物については、生体構成分子との結合なども想定した解析をすすめたが同定には至っていない、3. 本研究の過程で維持管理してきたアオウキクサが従来とは異なり、高濃度のLDS1を蓄積することが確認された。蓄積された濃度は花芽誘導に有効な濃度の数十倍以上であった。その原因として、継代培養時の光照度の不足、または、高密度での培養が挙げられる。原因究明を継続している。本発見は、乾燥処理すること無く花芽誘導分子を高濃度に得る方法の開発につながるものと期待される。4. LDS1に加え、炭素鎖短縮体、水酸基欠損体、二重結合欠損体、カルボニル還元体等を合成し、構造活性相関実験の準備をしてきた。本研究室で維持しているアオウキクサならびに新たに京都大学より分与されたアオウキクサにつき、異なる光照度下で生育したアオウキクサのLDS1のレベルを本年度初期より継続している。・
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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