研究課題
ウシ心筋ミトコンドリア複合体-Iのキノン結合ポケットを位置特異的に化学修飾する方法論の確立を目指して来た。27年度までに、アセトゲニン分子をリガンド分子として用いるトシル化学法によって、キノン結合ポケットを構成する49 kDaサブユニットのAsp160(49 KDa Asp160)を特異的に化学修飾する条件を確立することができた。しかし、亜ミトコンドリア粒子を実験材料とした時、環歪みを持つDIBO分子(分子中にシクロオクチンを含む)をクリックケミストリーのパートナーとして用いると、複合体-I以外のミトコンドリアタンパク質との化学修飾を抑えることができなかった。特に、ADP-ATP輸送体との副反応は深刻であった。これは、シクロオクチンと他のタンパク質中の求核性アミノ酸残基との反応性が高いためであろうと予想された。この問題を解決するべく、亜ミトコンドリア粒子中の49 KDa Asp160をトシル化学によってまずシクロペンテン(1次タグ)で修飾し、その後、テトラジンを有する蛍光2次タグ(テトラジン+BODIPY)を導入する戦略を試みた。その結果、49 KDa Asp160に対するシクロペンテンの修飾率は30~50%と良好であった。その後のシクロペンテンとテトラジンの反応は極めて選択性が高く、他のタンパク質中の求核性アミノ酸残基との反応はほとんど観察されなかった。一方、シクロペンテンの代わりに種々の環歪みを持ったプローブについても検討したが(例えば、シクロオクチン)、プローブが嵩高いために、49 KDa Asp160への修飾率が顕著に低下した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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