研究課題/領域番号 |
26292064
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡田 晋治 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (50376563)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 味覚 / 神経 / トレーサー |
研究実績の概要 |
本申請研究では、①2種以上の細胞を起点とする情報伝達・処理神経回路の可視化を実現する新規の経シナプス性トレーサー・トランスジーンをメダカを用いて開発し、②新規トレーサーを用いて、2種以上の基本味の情報伝達・処理経路を区別して可視化し、各経路の相関を明らかにすることを最終目標としている。本年度は以下の成果を得た。 1. 新規の経シナプス性トレーサー・トランスジーンの機能評価 - 前課題において新規開発した経シナプス性トレーサー・トランスジーンの詳細な機能評価を行うため、メダカPLCb2プロモーター制御下で経シナプス性トレーサー・トランスジーンを発現するトランスジェニック(Tg)メダカを系統化した。系統化したTgメダカの組織切片に対するin situハイブリダイゼーション (ISH) および免疫組織染色 (IHC) を行い、味蕾標的細胞での各トレーサーmRNA・タンパク質の発現を観察・比較した。味蕾での経シナプス性トレーサーmRNA・タンパク質の染色強度はほとんど差がみられなかった。また、味神経細胞でのトレーサータンパク質の染色強度についても差がみられなかった。一方、新規の経シナプス性トレーサータンパク質は高次中枢への輸送量が少ないことが示唆された。 2. メダカの基本味情報伝達・処理神経回路の相関関係の解明 - メダカ味蕾の各細胞種に異なる経シナプス性トレーサー・トランスジーンを発現するTgメダカを作出し、系統化した。系統化したTgメダカを交配し、二重Tgメダカの作出を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Tgメダカの解析によって、新規の経シナプス性トレーサーについて、高次中枢への輸送量が少ないことが示唆されたことから、新規の経シナプス性トレーサーの性質の詳細な解析を行い、計画の再検討が必要だと考えた。 そのため、既存のTgメダカを用いて行うトレーサーの性質の解析を優先することにした。 計画の再検討を行ってからTgマウス作出するため、当初計画では26年度としていたTgマウス作出を27年度以降とすることにした。
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今後の研究の推進方策 |
Tgメダカの解析によって、新規の経シナプス性トレーサーについて、高次中枢への輸送量が少ないことが示唆されたことから、新規の経シナプス性トレーサーの性質の詳細な解析を行い、計画の再検討が必要である。 当面、既存のTgメダカを用いて行うトレーサーの性質の解析を優先する。必要に応じてトレーサーの性質解明に繋がると考えられる神経細胞にトレーサー・トランスジーンを発現するTgメダカの作出も行う。 性質を明らかにした後、「基本味情報伝達・処理神経回路の相関関係の解明」という目的を実現可能なTgマウスを作出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
11万円ほどが次年度使用額となった。 学会参加に纏わる旅費が想定より少なかった。 予算内で必要物品が揃ったため、残額を来年度使用することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の成果により、計画変更が伴うため、研究遂行のための物品費として使用する。
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