研究課題
本研究は、腸管免疫応答における新規細胞間相互作用、およびそれに対する腸内共生菌、食品成分の制御を明らかにし、免疫機能食品開発へ応用をめざすものであり、以下の結果を得た。制御性T細胞誘導における新規細胞間相互作用の解析:免疫抑制機能を有する制御性T細胞は、アレルギーや炎症の抑制効果が期待される。昨年度に引き続きマウス腸間膜リンパ節樹状細胞のFoxp3+制御性T細胞誘導能の解析を進めた。CD11b-CD103+PD-L1+樹状細胞サブセットのin vitroにおける制御性T細胞誘導能は、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体を添加しても影響がなく、制御性T細胞誘導にこれらの分子が直接関わらない可能性が示された。一方で、このサブセットは、経口投与した抗原を取り込み、腸間膜リンパ節に移動することを示唆する結果が得られた。また、卵白食摂取で食物アレルギーを発症するOVA 23-3マウスについて、本マウス未感作CD4+T細胞をin vitroで抗原刺激した場合、IL-4を高産生し、制御性T細胞がほとんど誘導されなかった。このようなCD4+T細胞の性質がアレルギー発症に関わる可能性が示唆された。腸管IgA抗体産生における新規細胞間相互作用の解析:マウス小腸パイエル板由来樹状細胞、T細胞、B細胞の共培養系において、抗体産生に関わる濾胞性ヘルパーT細胞の誘導について解析を進めた。本培養系にて、腸内細菌成分のモデルとしてのCpGオリゴDNA存在下、食品として利用される乳酸菌体を添加すると、濾胞性ヘルパーT細胞の表現型を示す細胞の誘導が促進されたが、抗IL-6抗体の添加により阻害された。一方で、樹状細胞、B細胞それぞれの単独培養にて、CpGオリゴDNA存在下、乳酸菌体を添加すると、IL-6が産生された。乳酸菌による濾胞性ヘルパーT細胞の誘導にこれらの細胞の産生するIL-6が関わることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS ONE
巻: 12 ページ: e0172795
10.1371/journal.pone.0172795
巻: 11 ページ: e0164858
10.1371/journal.pone.0164858