本研究は、発達期の低タンパク質栄養が成熟期の脳機能変化を導く分子基盤の解明を目的とした。疫学研究からは発達期の栄養飢餓により成熟期に統合失調症等の精神疾患罹患リスクの増加が指摘されているが、関与する分子機序は明らかになっていない。本研究ではマウスをモデルに,妊娠期から授乳期の母体にタンパク質制限食を給餌することで生育させた次世代個体の成熟期における脳内分子機能変化について解析を行った。その結果、低タンパク質栄養状態に曝されることで、血液脳関門を構成する脳血管細胞の形質膜輸送体発現が変化し、前頭前野においては大規模な遺伝子発現変化を惹起し,それらの変化は顕著な性的二型性を呈す事を明らかにした。
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