研究課題
課題1:高度利用を目指した食品中機能性成分代謝物の新規製造法の確立:ポリフェノール抱合代謝物の多くは酵母菌体の内部に蓄積することから、菌体外への排出機構を酵母に付与することを目的にヒト由来ABCトランスポーターとの抱合酵素系同時発現を試みたが抱合体産生における寄与は得られなかった。ヘテロな修飾を受けた抱合体産生についてはUDP-グルクロン酸転移酵素、硫酸基転移酵素及びメチル基転移酵素の同時発現酵母によって可能となった。また、安定同位体ラベル抱合体については13Cグルコースを出発基質として13Cグルクロン酸により抱合体の調製を試みたが、内在性グルコースによりラベル体が希釈されて十分な純度の標品を得ることができなかった。課題2:腸肝循環を模倣した食品中機能性成分の体内動態解析系の構築:今年度は昨年度に引き続き、リンパカニュレーションラットを用いたケルセチンの投与実験を実施した。十二指腸にケルセチンアグリコンならびにイソケルシトリン(ケルセチン-3-グルコシド)を投与し、血漿中ならびにリンパ液中に出現する抱合代謝物の構造を、富山県大で調製した一連の抱合体を標準物質としてLC-MS/MS解析により調べた。さらに、各代謝物の濃度変化を経時的に比較した。その結果、血漿とリンパ液に吸収後出現する代謝物の種類は同様であった。しかしながら、グルクロン酸抱合体における抱合基の結合位置により、血漿とリンパ液への分配率が異なる結果を得た。さらに、アグリコンと配糖体では、一部の代謝物において濃度が大きく異なっていた。現在、これらの解析結果をまとめ論文投稿準備中である。加えて、東京農業大学との共同研究によりCaco-2細胞におけるエクオールの吸収比較実験を行い、腸肝循環により小腸に出現したグルクロン酸抱合体の腸内細菌代謝が光学異性体により異なることを示唆する結果を得た。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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