研究課題
越境大気汚染物質として地表付近オゾン(O3)濃度が増加し樹木の成長が低下してきた。一方、窒素沈着も増加しており、樹木はO3と窒素沈着の複合影響を受ける。先行の温室の研究から、窒素沈着の増加でO3への感受性がカラマツでは低下したが,野外でのデータは不十分である。北海道は未成熟火山灰土壌や特殊土壌が多く、激変する無機生産環境に適応できる樹種特性と植栽場所の選定基準が求められている。そこで開放系O3付加施設を造り、窒素沈着との複合影響をF1とカラマツを主な対照にし、生理データをスケールアップして持続可能な生産予測図を提供する。既存施設を改修し研究した。土壌は褐色森林土と未成熟火山灰土とし、グイマツ雑種F1と競合種などを植栽し、急増してきた越境汚染を想定した硫酸アンモニムによる窒素沈着処理を施した。イングロース法による根の観察を実施し、成長阻害を樹木栄養生理的に評価した。プラズマ発光分析を用いて光合成機能等との詳細な関係解析を行う。窒素沈着は無機態窒素量を増加させるが硫安沈着は土壌pHを低下させ土壌からのストレスが生じる可能性を検証した。窒素沈着とO3の複合影響を日本の森林樹種を対象に行われてきた研究は,脱硫装置導入後なので硝酸アンモニウム(硝安:NH4NO3)沈着を想定した。O3と硝安の複合影響では、材料の葉緑体の酵素再生機能とCO2固定酵素濃度は低下した。従来の硝安の土壌への付加は100 kgN/ha・yrでpHは5を下回ったが、50 kgN/ha・yrではpHは5を下回らなかった。本研究の硫安([NH4]2SO4)付加では、光合成能を低下させるO3と窒素の複合影響は、予想と異なり両樹種で確認できなかった。この原因として、(NH4)2SO4付加による顕著な土壌ストレスが生じず窒素栄養として作用し、個葉レベルの生理反応は促進された可能性がある。さらなる解析が必要である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 図書 (4件)
Environmental Science and Pollution Research
巻: 24 ページ: 6634-6662
10.1007/s11356-017-8401-2
Journal of Agricultural Meteorology
巻: 72 ページ: 50 - 58
10.2480/agrmet.D-14-00018
Water, Air, & Soil Pollution
巻: 227 ページ: 33-61
10.1007/s11270-015-2715-9
Science of the Total Environment
巻: 573 ページ: 1053-1062
10.1016/j.scitotenv.2016.08.183