研究課題
この研究の目的は,中部山岳において,(1)温暖化の標高傾度にそった生態系機能(とくに炭素循環)への影響,そして(2)標高傾度にそった植生移行帯が温暖化によって現在よりも高い標高へ移動するのかを解明することである.今年度は,以下の個別研究を行なった.①標高傾度にそった種間競争の変化:分布上限では競争力は低下するのか?,②シラビソ・オオシラビソの植生移行帯の形成機構,③高木限界の形成機構,④高木限界と森林限界の形成に対する積雪の影響,⑤標高傾度にそった生態系機能(炭素循環)について,⑥温暖化による森林の成長量の標高傾度にそった比較.H30年度の実績としては,①,②については亜高山帯の低標高で優占するシラビソが高標高へ分布できないのは,成長できないためではなく,新規加入できないためであることが分かった.③高木限界付近のオオシラビソとダケカンバの個体レベルの成長特性については,データ解析はほぼ終了した.④北アルプスの南部から北部まで5山岳(乗鞍岳,鹿島槍ヶ岳,蝶ヶ岳,双六岳,燕岳)における高木限界付近での野外調査と空中写真を用いた解析の結果を纏めているところである.⑤に関しては,乗鞍岳の5標高に設置してある永久調査区において,土壌呼吸速度やリター量の測定を継続して行なっている.⑥に関しては,乗鞍岳の新旧(1974年と2010年)の空中写真を用いて,36年間の植生変化について解析を行なっている.個別研究①,②,⑤に関しては,現在,論文として纏めている.ほかの個別研究に関しても,データ解析が終了次第,論文として纏める予定である.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件)
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