研究課題/領域番号 |
26292083
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
梶村 恒 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10283425)
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研究分担者 |
岡部 貴美子 国立研究開発法人 森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, チーム長 (20353625)
神崎 菜摘 国立研究開発法人 森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 研究員 (70435585)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生物多様性 / 共生 / 昆虫・ダニ / 菌類 / 線虫 |
研究実績の概要 |
予定通り、前年の調査・実験を追試するとともに、相互作用系の解明や系統地理学的解析も進展させた。 キクイムシ類、カミキリムシ類、クワガタムシ類、ガ類などの樹木穿孔性昆虫を、各調査地で見つけ捕り、あるいは寄主木ごと回収した。タマバエ類などのゴール形成昆虫は、植物フェノロジーをモニタリングしながら、ゴールごと捕獲した。実体顕微鏡下で形態を観察し、種同定した。キクイムシ類については、虫体のDNAデータから個体群の遺伝的分布様式を考察した。また、生息場所を切開して内部状態を調べ、その習性(穿孔様式、成育特性、繁殖様式など)も確認した。キクイムシ類については、人工飼育法を駆使して利他的行動を発見した。 供試虫の体表や生息場所を実体顕微鏡で丹念に観察し、ダニ類が潜んでいないか確かめた。形態を観察して種同定するとともに、生息場所における習性(存在様式、成育特性、繁殖様式など)を明らかにした。 共生菌を各種の人工培地を用いて分離・培養、純化した後、光学顕微鏡で詳細に観察した。また、DNAを抽出し、塩基配列データを得た。これらの形態的および分子的情報に基づいて、種同定と系統解析を行った。一部の分離菌株については、寄主木への作用も実証した。さらに、解剖時に線虫も釣り上げて培養し、同様の手法を用いて種同定と系統解析を行った。 新種の発見、分布範囲の確認、特殊な生態の発見、分離菌株の特性に加え、相互作用の仕組みや時間的変化、系統地理学的解析などの成果について、国内外の学会で発表し、論文を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キクイムシ類、カミキリムシ類、クワガタムシ類など、甲虫の樹木穿孔性昆虫について、2年間充実したデータが得られている。とくに線虫の成果は申し分ないと思われる。また、今年度はタマバエ類のゴール形成昆虫も捕獲でき、新たな共生系の研究を進められた。さらに、キクイムシ類については、来年度の予定であった系統地理学的解析をすでに実施できた。ただ、クビナガキバチ類などのハチ目の樹木穿孔性昆虫から菌と線虫の分離を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度も、これまでの調査・実験を継続しながら、系統地理学的解析も進展させる。クビナガキバチ類などのハチ目の樹木穿孔性昆虫については、引き続き確保に努める。そして、すべての結果をまとめて、種多様性、遺伝的多様性、生態系多様性を統合的に考察する。学会発表と論文作成も順次行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた調査・実験に関する出張や消耗品購入の一部が実施できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度は国際学会もあり、予定通りの使用計画で問題ないと思われる。
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