研究課題
水資源保全のための林分密度管理図を調製した。まず,蒸発散量の構成要素を蒸散と遮断蒸発の2つに区分し,林床面蒸発については,密度管理の必要な林冠閉鎖後においては無視できるものと仮定した。蒸散量については,平均樹液流速と辺材面積合計の積として与えられる。これらのうち,平均樹液流速については,先行研究をもとに,林木の成長や密度管理によらず一定と仮定した。また,辺材面積合計については,林分密度と胸高直径の関数として表現できるものと仮定した。胸高直径と辺材面積との関係を解析した結果,辺材面積は胸高直径の1.6乗に比例し,この関係は針葉樹において普遍的であろうと考えた。一方,遮断蒸発量については,林分密度と降雨量の関数として表現できる。また,その関数形について,低密度の高齢林における観測結果を加え,再検討したところ,直線式よりも,むしろ指数式によって表現することが適当であろうと考えられた。以上の知見をもとに,水資源保全のための林分密度管理図を調製し,図の利用方法について説明した。この密度管理図は,横軸に林分密度を,縦軸には蒸発散量をそれぞれとった図であり,複数の曲線群(自己間引き曲線ならびに複数の等平均直径曲線)によって構成されている。最後に,調製した水資源保全のための林分密度管理図の有効性と限界について議論した。この密度管理図は,森林の成長と管理による蒸発散量の変化を予測する上で有用である。しかし,調製に用いたモデルから判断して,個々の林分における変化を予測しようとすると,大きな誤差をともなう危険性が高い。この密度管理図は,あくまで流域くらいのスケールで,森林管理が水資源に及ぼす影響を評価するためのツールとしてみられるべきである。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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