研究課題/領域番号 |
26292104
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木下 政人 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60263125)
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研究分担者 |
豊田 敦 国立遺伝学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, その他 (10267495)
家戸 敬太郎 近畿大学, 付置研究所, 教授 (90330240)
吉浦 康寿 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (90372052)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / マダイ / トラフグ / メダカ / ミオスタチン / 遺伝子破壊 / CRISPR/Cas9 |
研究実績の概要 |
マダイとトラフグを用い、CRISPR/Cas9 システムによりミオスタチン遺伝子の破壊を試みた。ミオスタチンは筋細胞の増殖と肥大を抑制する遺伝子であり、この遺伝子を破壊することで魚体の筋肉量、つまり、可食部が増大すると考えられる。まず、近畿大学水産研究所で飼育されているマダイと独立行政法人水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所屋島庁舎で飼育されているトラフグのミオスタチン遺伝子の一部遺伝子配列を決定した。それらに対して、複数のsinge gude RNA (sgRNA) を作製し、Cas9 mRNA と共に受精卵にマイクロインジェクション法により導入した。その結果、いずれの魚種に於いても遺伝子破壊活性のある sgRNA を合成することに成功した。続いて、これらsgRNA をマダイ、トラフグの受精卵数千粒に導入し、飼育を行った。トラフグに関しては、不測の飼育水の悪化により、全滅した。マダイは、順調に成長し、平成27年3月時点で約200個体が生存しており、尾びれを用いた遺伝子破壊効果検討の結果、遺伝子破壊が多数の細胞で起っている個体は、そうでない個体比べCondition factorが高い傾向が、つまり、筋肉量増大傾向が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マダイでは、CRISPR/Cas9 system によるミオスタチン遺伝子破壊により、筋肉量増大効果が見られ、それらの個体が順調に生育している。トラフグでは、ミオスタチン遺伝子破壊効果のあるsgRNA の合成に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
マダイに関しては、ミオスタチン遺伝子破壊個体の飼育を継続し、遺伝子破壊された次世代個体の作製を目指すと共に、成長に関わる他の遺伝子破壊も試みる。トラフグに関しては、ミオスタチン遺伝子破壊個体を作製し、その効果を検証する。また、マダイでは、その全ゲノム配列のアッセンブルを行い、ドラフトゲノムの作製を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に塩基配列解析用のサンプルが調製できなかったため、平成27年度にサンプルを調製し、その塩基配列解析を行う。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年5月~6月のマダイ産卵シーズンに受精卵からゲノムを調製し、メチレーションと塩基配列解析を行う。
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