研究課題/領域番号 |
26292107
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
田口 尚弘 高知大学, 総合科学系黒潮圏科学部門, 准教授 (80127943)
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研究分担者 |
久保田 賢 高知大学, 総合科学系黒潮圏科学部門, 准教授 (00314980)
奥田 一雄 高知大学, 総合科学系黒潮圏科学部門, 教授 (40152417)
富永 明 高知大学, 総合科学系黒潮圏科学部門, 教授 (50172193)
関田 諭子 高知大学, 総合科学系黒潮圏科学部門, 准教授 (70314979)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 造礁サンゴ / 染色体 / 形態分類 / 分子分類 |
研究実績の概要 |
これまでに,キッカサンゴの染色体数が2n=28であるのに対し(Chrom. Sci., 2013)エンタクミドリイシは2n=30の染色体数(Zool.Sci., 2014)であることを見出している。この結果より染色体数が分類の一つの指標となると期待されたことから,平成27年度はパリカメノコキクメイシをターゲットにして,染色体分析を行なった。その結果キッカサンゴ同様に染色体数が2n=28であることが明らかとなった(Comp. Cytogenet., 2016)。また,ヒトではガン遺伝子の増幅などで観察されるhomogenously staining region(ギムザ均一染色領域)の観察像も得られたことから,染色体のより詳細な観察により,染色体数以外の分類指標が得られると期待された。 一方,精製タンパク質を足掛かりにした検出については,作成したポリクローナル抗体が免疫組織的検出には十分機能しなかったことから,ターゲットタンパク質の種類や抗原部位の選択の工夫が必要と思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,主に1. 染色体の性状を明らかに摺るとともに,2. 分子内生成高分子や3. 細胞内構造の種間差を見出すことを目的としている。2.および3.については,十分な結果が得られていないものの,1.については,最もシンプルに検出できる染色体数の造礁サンゴの分類指標としての利用可能性を示しているとともに,その他の染色体観察像も分類指標になり得る予備的データが出つつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた18S,5.8S,28SリボソームRNA,snRNAと直列に位置する5SリボソームRNAや性染色体などのプローブを用いた蛍光 in situ ハイブリダイゼーションによる座位の特定結果や他の造礁サンゴ染色体への適応可能性などについて整理する。 また,各ペイントプローブにより観察されるヘテロクロマチン分布様式の種間比較結果についても,データの分類を図る。 発現タンパク質についてはパターン比較を行なう。トランスクリプトームライブラリを参考にして組み換えタンパク質を合成し,それを抗原としたポリクローナル抗体が十分機能しなかったことから,平成28年度は造礁サンゴ細胞からタンパク質を精製し,タンパク質の特徴を明らかにすることによりその性質を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は,特異的抗体を用いた種間の反応性比較実験を計画しており,トランスクリプトームライブラリからの遺伝子配列の選定,その配列に基づく組み換えタンパク質の作成やそれを抗原として用いたポリクローナル抗体の作成を行なった。ウェスタンブロット分析による抗原タンパク質との反応性は確認されたものの,免疫組織学的解析に適さないことが明らかとなり,それ以降の種間比較について研究計画の再考が必要となったことが次年度使用額が発生した理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に生じた問題は,造礁サンゴのタンパク質の性質によるもの,抗原部位の選定によるものや技術的問題によるものなどいくつもの原因が考えられることから,平成28年度には全く異なるアプローチで種間差を検討することとして,その実験に使用する予定である。
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