研究課題/領域番号 |
26292118
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
衣笠 智子 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 教授 (70324902)
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研究分担者 |
山口 三十四 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 名誉教授 (90030684)
加賀爪 優 京都大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (20101248)
福井 清一 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90134197)
近藤 功庸 旭川大学, 経済学部, 教授 (20305874)
福本 幸男 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (60411386)
中川 雅嗣 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 研究員 (00586638)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 少子高齢化 / グローバリゼーション / 農業 / 地域 / 年齢構成 / 日本 / 道の駅 / 規模の経済 |
研究実績の概要 |
グローバリゼーションおよび少子高齢化が進行する中での農業や地域の課題について、経済学の理論的、計量的観点から考察を行った。その中で、衣笠・福本が、科研のメンバーのアドバイスを受けて完成させた論文は、代表的成果である。この論文では、人口変化がどのように貿易に影響を与えるか、特に、貿易開放度(輸出と輸入の合計のGDPに対する比)と貿易収支のGDPに占める割合の決定要因を世界のデータを用いて検証した。その結果、年齢構成は、貿易開放度や貿易収支に影響を及ぼし、生産年齢人口の割合が高いと貿易開放度や貿易収支が高くなる傾向にあることが見出された。そこから、第二次世界大戦後に急速に発展したグローバリゼーションは、経済統合の進展だけでなく、年齢構成の変化による影響もあることを示唆した。 また、山口は、日本の地域の問題を道の駅の防災機能に注目して研究を行い、様々なことを発見した。その中で、下記の発見が重要である。①総事業費が大きくなると、道路利用者の一時避難所、災害時支援拠点施設、災害時中継施設を提供する。②PFIの道の駅は、非常用トイレ、自家発電装置, 非常用通信手段、防災倉庫等を提供する。PFI駅の防災スコアは高い。災害時対応マニュアルを整備している。 さらに、近藤は、将来の人口減少の品目別食料自給率にどのような影響を与えるか研究を行った。加賀爪は、東京と京都の観光者の経済効果と廃棄物への効果を産業連関分析により計測をした。福井は、インドネシアの米生産の規模の経済、中川は、日本の小麦、大豆作の規模の経済について計量的に計測し、農業の効率性に関する研究を展開した。また、衣笠が農家所得の決定要因に関する都道府県を用いた計量分析やこれまでの農業政策や道の駅や地域経済についての文献サーベイも積極的に行い、グローバリゼーション、少子高齢化が進行する中での政策提言に向けての材料を揃えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれが順調に研究成果を発表しているので、順調に研究を進めることができていると判断される。特に、衣笠・福本の研究は、Population Association of Americaや神戸大学と中国の三大学(浙江、山東、南開大学)との合同カンファレンスでも発表し、討論者、聴衆にも高く評価され、査読付き海外雑誌にも掲載されたことが顕著であろう。他にも、査読付き雑誌に多くの論文が掲載されており、次年度も、さらなる研究成果が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
前年に引き続き、各自、テーマに関して、分析結果をまとめて論文を執筆する。 今年度6月末までに、前年度までに得られた全結果を代表・分担者が全員で検討し、日本を含む東アジア諸国の人口変化を考慮した上での農業の展望を考察し、今後、どのような農業政策が望まれるかを意見交換する。 研究成果は、農業・人口・経済に関する国内外の学会で発表し、専門家からの助言を反映させた上で、査読付き学術雑誌に投稿する。さらに、シンポジウムを開催し、研究成果を広く広報する。年度末までに全体で打ち合わせを開催し、研究発表するとともに、得られた知見から政策提言を行う。また、研究成果を集大成した書籍を刊行できるよう、検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の海外出張が、先方の事情でやむなく中止になったところが大きい。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費と物品費に使用する。
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