研究課題/領域番号 |
26292120
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
西尾 健 法政大学, 生命科学部, 教授 (90356288)
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研究分担者 |
矢部 光保 九州大学, 農学研究院, 教授 (20356299)
野村 久子 九州大学, 国際教育センター, 講師 (60597277)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エシカル消費 / 環境調和型農林水産 / 生物多様性 / 政策研究 / 農業経済学 |
研究実績の概要 |
自然科学チームでは農業生産地域の生物多様性保全に関する調査を実施した。農村に多数生存する優占的な生物類から鳥類20種、昆虫・クモ類15種,小動物4種,植物13種の計52種を保全生物候補例として選定し,農村で豊かな生物多様性を保全するためには,それらを指標とした生物多様性保全戦略を策定することが必要と結論づけた。 海外制度調査チームは,農業における環境,伝統的加工品,有機農産物,地場産といった付加価値により,エシカルな消費に重きをおく消費者を惹き付けている成功事例についてエシカル消費の発祥地である英国で,エシカル消費の推進実践農家や英国生協,非営利団体に対し,聞き取り調査を行った。これにより,エシカル消費の動向や原動力となっている要因など,2015年度に行うエシカル消費についての需要調査に関する大変有益な情報を収集することができた。 実証実験チームは,企業や政府のレベルでの意思決定において重要な情報を提供するため,エシカル消費の環境価値評価を試みた。実際の支払額を環境価値の真の金額とした場合,従来から用いられてきた仮想評価法で評価された金額は過大評価であると指摘されているため,水車の保全基金を事例に分析した結果,支払意思があっても,募金箱の存在に気がつかない人が多数いるため,実際の募金額を水車の保全価値とした場合,過小評価となることを明らかにした。 国内制度設計チームでは,エシカル消費に関する情報デザインの研究,なかでも農文化と伝統的農業および農村社会の関連システムの解明を念頭に,世界ジオパークや世界文化遺産など阿蘇地域で同時進行している類似制度の中に文化的景観や伝統知識などの無形文化遺産をどう組み込めるか調査研究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外制度調査や環境保全型農業による生物多様性の保全に関する生態学的な調査など,研究期間初年度に予定していた計画がほぼ実施されたことに加え,国内の事例調査なども実施できており,研究期間2年度目につながる結果となっていることから,順調に進捗していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間2年度目となる2015年度は,当初の計画に従い,以下のような方向で取り組むこととする。 海外制度調査チームは,前年度の英国調査結果と比較するため,ドイツやオランダ等の欧州大陸国におけるエシカル消費の支援体制や取り組み事例を調査することとする。なお,研究打ち合わせの結果にも依るが,前年に引き続き,英国で追加調査することも視野に入れる。 自然科学検証チームは,前年度に指標種の選定・提示を行ったことから,2015年度は生物多様性の保全に寄与するような環境保全型農業の取り組み方法や,モデル植生景観・栽培防除暦など実際の利活用を目指したオプション開発を目指す。 市場調査・実証実験チームは,生物多様性の保全・向上に資する環境保全型農業によって生産された農産物,すなわちエシカル消費につながる農産物に対する都市住民の潜在的需要を明らかにするため,国内および外国でアンケート調査を実施し内外比較を行う。 国内制度設計チームは,英国での実地調査事例やその他文献調査事例などを精査し,諸外国でエシカル消費が進展している要因を検討し,国内でエシカル消費を拡大させていくうえでの課題の洗い出しを行う。また,海外で見られるエシカル消費の支援組織と類似の役割を果たす国内組織について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の研究課題と内容的かつ地理的に重複する部分があったため,出張旅費などを他の外部資金から支出した。そのため,当初予定していた支出額を下回る結果となったことから,次年度繰越額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度繰越金については,主に人件費・謝金に充てることとする。その理由は,市場調査・実証実験チームが実施を予定している国内外比較アンケート調査において,調査会社との連絡・調整・交渉の他,調査票の作成,収集データの整理,グラフ作成など広範にわたる研究支援が必要不可欠であることから,RAの勤務日数・時間を増やすことで対応するためである。
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