研究課題
本研究は「農学・農業技術の比較社会史」という観点から、第二次大戦後の農業・農村開発の歴史的過程を実証的かつ比較史的に解明することを目的とした。2018年3月に研究成果報告書を作成、その内容の一部を2018年5月27日、北海道大学で開催された日本農業経済学会の特別セッションで報告した。(通常、当学会は毎年度末に行われるが、201年度は北海道開催となったために翌年度の5月に開催となった。このために本事業期間を延長し、延長分の補助金は主として報告者とコメンテータの往復旅費に充てた。)特別セッションの論題は「農業・農村開発政策の比較史的検討―日本(北海道)と西ドイツの戦後経験を中心に―」である。西ドイツの経験を参照にしつつ、1950年代に実施された日本の農業・農村開発政策の歴史的評価について広く意見を交わし議論を深めることを目的とした。報告は3本で、第1報告は研究分担者の伊藤淳史(京都大学)による「PL480によるアメリカ農産物の日本市場開拓計画―「アメリカ小麦戦略」論の再検討―」と題する報告、第2報告は研究協力者の野間万里子(日本学術振興会特別研究員・広島修道大学)による「根釧パイロットファーム開発事業計画の再検討―営農設計を中心に―」と題する報告、第3報告は研究代表者の足立芳宏(京都大学)による「戦後西ドイツにおける「辺境」農村開発政策(1950-1962)―エムスラント開発事業を中心に―」と題する報告である。これに対して北野学氏(北海商科大学)からは拓植政策史の観点から、名和洋人氏(研究分担者・名城大学)からは戦後アメリカの農政史・経済政策氏の観点からコメントをうけた。議論では、食生活との関連性、および、背景としての冷戦体制の意義の重要性が指摘された。なお、その他に本研究で課題として残された青森県上北パイロットファームに関する聞き取り調査を2018年6月に行った。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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