研究課題/領域番号 |
26292122
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
秋津 元輝 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00202531)
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研究分担者 |
波夛野 豪 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30249370)
立川 雅司 茨城大学, 農学部, 教授 (40356324)
辻村 英之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50303251)
谷口 吉光 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (60222121)
中村 麻理 名古屋文理大学, 健康科学部, 教授 (60434635)
竹之内 裕文 静岡大学, 農学部, 教授 (90374876)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 倫理的食消費 / 食と農の未来会議 / 食品の地域性 |
研究実績の概要 |
食農倫理関係の単行本作成について、6月に合同研究会を開催し、いつかの草稿をもとに全体構成について議論するとともに、出版に向けたスケジュールを決定した。これは、地域食農ワークショップの参考本としての役割を担うものである。7月には、京都市内の環境NPOがおこなう買い物ワークショップに参加し、倫理的食消費に関するワークショップの進め方について知見をえた。 8月から9月にかけて、米国およびカナダを共同で訪問し、Food Policy Councilの成立、運営、課題、特質について資料収集をおこなった。日本版のFood Policy Council(食と農の未来会議)を各自治体に埋め込むことを長期的な目標とする本研究にとって、先進的に展開する北米の事例から直接に情報が得られた意義は大きい。日本版を考えるにあたり、何が食と農に関する緊急の課題であって、それを入り口にしていかにその他の倫理的課題に拡張できるかが重要であることが明らかとなった。 11月には、高知県において、local foodとしての「すりみ天」について、地元住民にfocus group interviewを実施し、地域の食品に対する意識を調査し、地域食農ワークショップの参考資料とした。12月には、秋田県能代市で展開する予定の地域食農ワークショップについての準備作業として、地域ステークホルダーとの会合をもった。また、地域食農ワークショップの導入段階として、具体的なワークショップ手順を考える会合を開催し、その基本となる進め方をまとめた。 3月には大阪府下にある生協の組合員を対象にして、食品選択時の考慮要素についてfocus group interviewをおこない、倫理的選択の実態と可能性について、食品毎の違いを確認した。さらに、能代市においてステークホルダーを集めた初歩的なワークショップを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
地域食農ワークショップのための準備が思いのほか手間取っている。本来の計画では、今年度中に、亀岡市、能代市等で地域食農ワークショップを試験的に開始する予定であった。しかし、地域住民が対象であるため、試験的といっても中途半端な準備で始めることができず、今年度は準備に徹した。 また、その参考資料となる食農倫理本の執筆、編集についても想定よりも遅れている。その理由は海外での研究の進展に呼応して、倫理学的基礎をさらに固める必要が生じたことがあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
地域食農ワークショップについては、ほぼ準備が終了し、来年度は冒頭からの実施が可能となった。能代市においてはステークホルダーとの調整も整っている。亀岡市については、これからステークホルダーの選定に入るが、すでに研究代表者は同市とのつながりがあるため、実施に際して大きな障害はないと想定される。 来年度にカナダ・トロントで開催される世界農村社会学会議において、地域食農ワークショップの暫定的な成果を報告する予定であったが、予定を変更し、local foodsにおける生産・加工過程の変遷、および地域住民の態度変化について研究報告をする予定である。日本の農漁村社会において、地域の食がどのように変化し、住民に認識されてきたのかという報告は、日本の食情報に関する海外への発信が乏しいなかで、貴重な情報源となるであろう。また、同国際会議においては、生協組合員の食品選択に関するfocus group interviewの成果も報告される予定である。 来年度中には、『農と食のあたらしい倫理を求めて』(仮)と題する書籍を出版する。当初、この本は地域食農ワークショップのガイド本として構想していたが、執筆を進めるにつれて。より専門的な内容にシフトしつつあり、同ワークショップの参考書的な役割を与えることにした。 地域食農ワークショップの成果を来年度中に発表することは、やや難しくなった。来年度は、その実施とどのような形で研究成果として結実させるかについて、検討することになろう。それらの具体的な成果発表、およびさらなる展開については、次の研究プロジェクトでの課題としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の最終段階で予定していた地域ワークショップの開始が次年度にずれ込み、そのために計上していた謝金等を使用できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度早々から地域ワークショップの準備を開始し、実際に開催するにあたってはワークショップ実施・運営作業の補助として、特別に研究員を雇用する予定である。繰越金をその資金に充てて、有効に利用する。
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