研究課題/領域番号 |
26292122
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
秋津 元輝 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00202531)
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研究分担者 |
波夛野 豪 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30249370)
立川 雅司 茨城大学, 農学部, 教授 (40356324)
辻村 英之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50303251)
谷口 吉光 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (60222121)
中村 麻理 名古屋文理大学, 健康科学部, 教授 (60434635)
竹之内 裕文 静岡大学, 農学部, 教授 (90374876)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 食農倫理 / 地域づくり / バックキャスティング / 食購入行動 |
研究実績の概要 |
住民参加型ワークショップの実施サイトとして秋田県能代市を選定し、地域の食と農にかかわるステークホルダーを集めて、9月から3回、フォアキャスティング法(FC法)およびバックキャスティング法(BC法)によるワークショップを開催した。FC法では現在の延長線上での課題解決を検討し、BC法では理想の未来像を設定して、その実現のために必要とされる課題を検討した。30年後の理想の食卓の実現をめざしたBC法では、参加者らの地域の食事・食卓の理想像がきわめて類似していることが発見されるとともに、30年後の未来を現在と切り離して構想することのむずかしさが判明し、能代市での次の展開や別の地域でのBC法によるワークショップ開催のための貴重な基礎資料が得られた。他方、比較のために京都市近郊の亀岡市においてワークショップの準備を進めた。地域住民の買い物行動などの調査データをもとに、改良したBC法にてワークショップを開催する予定だったが、研究期間内に実施できなかった。繰り越し研究費や他の研究プロジェクトの支援も得ながら、次年度に3回のワークショップを開催し、研究成果を公表していく予定である。 食農ワークショップ開催の基本資料とするべく、農と食の倫理に関する研究書について最終的な打合せをおこなった。日本では初めてのジャンルの本になるため、編集および内容の調整に手間取っているが、次年度中の刊行にむけて、原稿も集まりつつある。 8月のカナダ・トロントでの国際学会、World Congress of Rural Sociology、および9月にインドネシア・マカッサルで開催されたINTERNATIONAL SEMINAR "Political Ecology of Sustainable Food Consumption and Production"において報告し、研究成果を広くアジア、世界に発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、3年の研究期間において、地域ワークショップを秋田と京都の2箇所で開催するとともに、同時に全国展開のための食農ワークショップガイドを作成し、日本版のフードポリシーカウンシル(「食と農の未来会議」)設立に向けた基礎固めを達成する計画であった。しかし、最初の地域ワークショップにおいて、参加者としてのステークホルダーの選定やワークショップ手法の開発などに予想外の時間がかかり、3年間の研究期間内においては、秋田でのワークショップの完了と、京都・亀岡市でのワークショップ準備を実施するに留まった。全国展開のための食農ワークショップガイドづくりについては、準備は進んでいるものの、形にすることができなかった。当初の全体の研究遂行計画にやや無理があったことは否めない。 とはいえ、亀岡市でのワークショップでは、実施のための食消費行動調査が終了しているし、食農ワークショップガイドづくりについても、海外文献の翻訳作業を進めるなど、準備作業は着実に進んでいるので、今回の研究助成を無駄にすることなく、次の研究展開に移行し、総合的に成果を発信していくことができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画の未達成課題については、繰り越し研究費の利用、および本研究と関連する他プロジェクト(総合地球環境学研究所、および京都大学学内研究助成など)の支援を受けて、平成29年度中には完了させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
住民参加型ワークショップの開催を2地域で計画していたが、最初の秋田・能代市での準備に手間取った結果、京都・亀岡市での開催を計画年度内に実施できなかった。そのために、次年度への繰越金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
亀岡市でのワークショップ準備は、計画年度内にほぼ終了している。繰越金および他の研究資金からの援助もえながら、本年度中に亀岡市での3回のワークショップを実施し、結果について比較検討をおこなう。繰越金は、そのための調査旅費・打合せ旅費、ワークショップ実施補助への謝金、会場費、および成果報告のための旅費等に使用する計画である。同時に、食農ワークショップガイドづくりについても、可能な限り推進し、次の研究計画へとつなげる。
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