研究課題/領域番号 |
26292127
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森 也寸志 岡山大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80252899)
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研究分担者 |
金子 信博 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 教授 (30183271)
松本 真悟 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (00346371)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 土壌物理 / 炭素固定 / 環境修復 / 浸透現象 / 劣化土壌 |
研究実績の概要 |
排水不良を原因とする土壌劣化は,表面流の発生で有機物に富む表層土壌を失うリスクがある.そこで土壌中に鉛直管状孔隙を作り,繊維状物質を挿入し,人工マクロポアとして下方浸透を促進した.表層にある有機物を失うリスクを軽減し,土壌深部に誘導することで土壌の有機質化をはかり,もって土壌環境を修復することを考えた. これまで人工マクロポアを用いた降雨の浸透促進による表面流の抑制を行ってきたが,浸透効果の度合いが不明確であった.そこで土中水分・塩移動予測汎用プログラムであるHYDRUS2-Dを用いて人工マクロポアによる降雨浸透現象の模擬実験を行い,実実験の結果とあわせて,その効果を再現・評価した.その結果,充填密度0.2,0.3,0.5g/gで調査すると,0.3g/gの時に飽和時の表面流の下方誘導と不飽和時の毛管力による水分の引き込みが最大になることがわかった.クラストの形成を想定した実験では,人工マクロポアによる降雨の浸透促進を確認しており,表面流の発生の抑制が可能であるという知見を得た. なお,学会発表欄に記載した,崎川・諸泉・森「HYDRUS-2Dを用いた人工マクロポアによる降雨浸透促進効果の評価」で,土壌物理学会優秀ポスター発表賞を受賞しており,特筆すべき成果ととらえている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
個別内容では着実に成果をあげ,加えて,学会賞受賞で特筆すべき成果を残すことができたから.以下は計画時の個別内容 ・最適な下方浸透と溶質拡散を作り出す人工マクロポアの設計 二次元シミュレーションにより,人工マクロポアの中心繊維の最適充填率をさだめ,それによって表面流の発生軽減と下方浸透促進を最大にする設計を得たこと.またそれを実験的にも確認したから. ・人工マクロポアの影響範囲と浸透量の定量解析 上の実験・推定をする際には一番はじめに各材料の水移動特性を精査しておく必要があるが,それを行い,二次元空間のシミュレーションを可能にしたから.計算によって推定される浸透量やその影響範囲は実験結果と良く一致し,今後の定量解析に使用可能なパラメータ群を得たから.
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今後の研究の推進方策 |
研究内容自体は着実に進んでいるため,基本的に当初の計画で遂行していくつもりである.
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次年度使用額が生じた理由 |
備品購入時の詳細な打ち合わせによって最適な組み合わせで装置を購入することができ,それが当初予定よりも安価に購入出来たため.そして,その分をより効果的な研究展開に利用出来ることになったため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額が生じた分は,H27年度に実施する予定である現場土壌の有機物分析に使用する.当初予定より多数の分析が可能になることでより正確な土壌環境の把握が可能になると期待される.
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