研究課題
土壌環境の改善の効果を評価するときには,植生,蓄積土壌有機物,損失土壌有機物を同時に評価対象に入れる必要がある.そこで沖縄のサトウキビ畑で人工マクロポア管理をした圃場と対照区で比較をすると,表面流去水と土砂流亡またサトウキビの地上乾物重について慣行栽培である対照区の方が多い結果になった.地上乾物重については対照区の方が2割多かったが,土壌有機物として蓄積するのはその1割以下になること,また,地表面流の発生に伴う土砂流亡は対照区の方が数倍多いことから,土壌に対する有機物蓄積の貢献度については人工マクロポア区の方が大きいと推測できた.また,下方浸透促進された土壌水が有機物分解を早める危険性について,カラム実験を行った.豊浦標準砂を高さ30cmの鉛直カラムに入れ,有機物として500mg/L安息香酸溶液と無機栄養塩類の混合液を均一に分布させた.不耕起区と耕起区,人工マクロポア区の3つの区を設け,人工マクロポア区には20cmのグラスファイバーを挿入し,30℃で試料を養生し3日ごとに5cmの層ずつにカラムを解体した.結果的に有機物量の分布に関して,不耕起区では下方浸透型の分布となり最も貯留効果が高く,耕起区では耕耘を行った表層から10cmまでの層で激しい分解が見られた.また,実験最終日のカラム内の総安息香酸量は不耕起区>マクロポア区>耕起区となっており,慣行栽培より有利であった.水分量に関して,マクロポア区では不耕起区とほぼ同じ含水比となり,マクロポア挿入部からの過剰な蒸発は見られなかった.これは蒸発量の結果からも確認することができた.これらのことから,人工マクロポアの導入は有機物や水分の保持を行うものの,有機物や水分の過剰な損失にはつながらないという結果が得られた.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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