研究課題
Botryococcuss braunii B品種showa株以外の株に対して、人工海水を純水で希釈し改変chu13培地と同濃度の栄養塩を添加した希釈人工海水培地を使用し、人工海水濃度がB. braunii の増殖速度、炭化水素回収性に与える影響について評価した。B. braunii B品種内でも株ごとに炭化水素回収性の向上する塩濃度、増殖速度の低下する塩濃度は異なることが確認された。実験に使用したうちの1株では、B. braunii B品種showa株と比べ、増殖速度の低下する塩濃度が高いことが確認された。また、塩濃度0.7%の人工海水培地で培養したB. braunii B品種showa株を透過型電子顕微鏡で観察し、コローニー表面の繊維状物質の減少が炭化水素回収性向上の要因であることを確認した。塩濃度0.3%とした海水培養による炭化水素生産システムのエネルギー収支の評価し、収穫・輸送工程、脱水工程、および、溶媒抽出工程で消費エネルギーが削減されることが確認された。昨年度より引き続き、より増殖速度の速い耐塩性B. braunii の取得に向けたスクリーニングを行っている。本年度は、単細胞化したB. brauniiに放射線を照射する方法の検討を行った。また当初の計画を越えて,屋外での大量培養の実験に取り組んだ。コンタミネーションや温度変化への対応など,課題が明らかとなり,対応策を検討した。
2: おおむね順調に進展している
放射線突然変異法による耐塩性B. braunii の育種においては、増殖速度、耐塩性ともに目標の形質をもつものは得られていないが、B. braunii の海水培養による炭化水素生産システムのエネルギー収支の評価の一部を本年度行うことができたため、全体としては概ね順調に進展している。
B. braunii の海水培養による炭化水素生産システムのエネルギー収支の評価に向けたデータの収集を行う。放射線突然変異法による耐塩性B. braunii の育種に関しては、引き続き、藻体への放射線照射、培養によるスクリーニングを行う。また引き続き,屋外での大量培養の実験に取り組む。コンタミネーションや温度変化への対応を検討し、屋外培養の基礎技術を確立する。
スクリーニング効率向上のため、放射線照射方法を、1L培養瓶での照射から寒天培地を使用したB. braunii 単細胞への照射に変更したため、照射条件等の再検討を行った。そのため、照射回数、照射量ともに予定より少なくなり、旅費、人件費、培養費用の一部を次年度に繰り越した。
計画通り、B. braunii の海水培養による炭化水素生産システムのエネルギー収支の評価を行う。放射線突然変異法による耐塩性B. braunii の育種に関しては、放射線照射方法の変更により、より多くの変異株の取得が可能となる。これらの変異株に対するスクリーニングと培養試験を行う予定である。
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Algal Research
巻: 16 ページ: 160-166
doi:10.1016/j.algal.2016.02.021
巻: 10 ページ: 172-176
10.1016/j.algal.2015.05.007