研究課題
肥育牛の肥育後期の体重増加は、ほぼ脂肪組織重量の増加に起因する。白色脂肪細胞におけるエネルギー消費は、それ以外の細胞のエネルギー消費より著しく小さいので、肥育に伴って、体重当たりの基礎代謝量は大きく減少するはずであるが、わずかに減少するのみである。つまり、肥育の進行に伴い、基礎代謝は実質的に亢進する。研究代表者らは、肥育後期のエネルギー利用効率の低下に褐色脂肪細胞/Brite細胞が関与しているとの作業仮説の下、研究最終年は、ビタミンA制限が黒毛和種肥育牛の脂肪組織におけるUcp1発現ならびに褐色脂肪細胞/Brite細胞分化に及ぼす影響を検討した。対照飼料あるいはビタミンA制限飼料を10ヶ月齡の黒毛和種去勢牛に20ヶ月間給与した。皮下脂肪ならびに腸間膜脂肪中のUcp1発現に関して、群間に違いは認められなかった。また、皮下脂肪組織より間質脈管系(SV)細胞を単離し、研究初年度・二年度に見出した褐色脂肪細胞/Brite細胞への分化方法に準じて分化させたところ、対照牛由来SV細胞より分化した褐色脂肪細胞/Brite細胞と比べてビタミンA制限牛由来SV細胞より誘導した褐色脂肪細胞/Brite細胞の方が若干Ucp1発現が高いこと、対照牛由来の褐色脂肪細胞/Brite細胞ではフォルスコリンによりUcp1発現は亢進した一方、ビタミンA制限牛由来の細胞ではフォルスコリンに対する応答性が認められないことが明らかになった。また、予想外なことにウシ筋組織ではUcp1を発現していることを見出した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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