研究課題
本年度は主に初乳細胞の仔豚腸管からの取り込みを検討した。生後4-6時間の仔豚を解剖し、十二指腸・空腸・回腸を摘出し、腸管サックを作成した。サックの中に、初乳から単離し、蛍光標識た単核球を導入し、37℃で2時間培養した。その後、サックを解列し、常法に従い粘膜固有層から細胞を単離した。単離細胞をフローサイトメーターで解析し、蛍光標識された細胞の有無を確認した。その結果、小腸の特定部位の粘膜固有層から単離した細胞中に蛍光標識した細胞が含まれる、つまり初乳から取り込まれたと考えられる細胞が存在することがわかった。なお、この試験は1腹2匹の仔豚を使用して行い、異なる時期に計3回行い、再現性を確認した。初乳から取り込まれる細胞の大きさ及び内部構造の複雑さをフローサイトメーター上で確認したところ、取り込まれる細胞は通常血液中に存在している細胞とは異なることが示唆されたため、現在、別個体の初乳から大きさ及び内部構造の複雑さが合致する細胞を単離し、細胞種の特定を試みている。
3: やや遅れている
昨年度絞り込んだ初乳から仔豚に移行するタンパク質の種類が想定を大きく超えて多かったこと、今年度実施した試験で初乳から移行する可能性が示唆された細胞が既知の細胞ではなかったことが原因で、再現性の確認や細胞種の特定に時間を要している。このため、申請当初に比べると進捗はやや遅いが、これは新規知見が多数明らかになった結果である。
今後は、初乳から移行するタンパク質を既知情報からさらに絞り込み、その機能の特定を試みるとともに、バイオインフォマティクスを駆使して、移行するタンパク質を更に詳細に解析する。また、初乳から移行する細胞種の特定も引き続き進める。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
Animal Science Journal
巻: 15 ページ: -
DOI: 10.1111/asj.12573
American Journal of Veterinary Resaerch
巻: - ページ: -
Frontiers in Immunology
doi: 10.3389/fimmu.2015.00630
http://eureka.kpu.ac.jp/~r-inoue/id-6.html